桜結び

□登校
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サワサワサワ…………

春の心地よい風が頬をかすり
目の前でピンクが舞う
暖かい日射しに少し冷たい風は
とても気持ちよく
まるで今日高校生になる
俺たちを歓迎してくれてる様にも思えた。

「おーい、モカ、そろそろ行くぞー」
『待ってー!今行くー!』

バタバタとやっと準備が終わりそうな
今日からVOC@LOID学園へ
入学する桜音 モカは
同じくVOC@LOID学園へ入学する
俺の近くに駆け寄ってきた


「さっきあっちで何してたんだ?」
『んー、ただ景色見てた!綺麗だったよー』
「そっか」

いつも通りの他愛のない会話をしながら
歩いていくと学園が見えてきた

「やっべ、俺ちょっとキンチョーしてきた」
『何それ、ちゃんとしなよー?w』

「なぁ、俺どっか変じゃない?」
『…最初から思ってたんだけど、ね』
「な、なんだよ…!」

『ネクタイよれてる』

「はぁ!!?」

嘘だ!!と思い視線を下げてみると
……確かにそこにはよれたネクタイがあった

『トウヤ不器用だもんねー』
「うっせ、もっと早く言えよチクショ」
『だって周りの反応が面白かったんだもん』
「もしやなんかみんなが笑ってたのこれか!!!」
『それそれ(笑)』

そう、道行く人はトウヤを見ると
笑っていったのであった
トウヤは緊張しているのが
顔に出てたか?と思っていたので
まさかネクタイとは思ってなかった。

「んだよ、めっちゃハズ……」
『フフ、ほら結んであげるよ』
「え、いいの?」
『あんたが結ぶとまたよれるじゃん』
「え、ひど」
『ふぅん?別に私は結ばなくてもいいけど?』
「スイマセン、文句なんてないっす、結んでください」
『ん、よろしい!』

これだから、敵わない
互いに小さい頃から知ってる
からほぼ知らないことはない
だから弱点も握られてる
まぁ俺も握ってんけどな!!

『ちょっと、なに笑ってんの、キモ』

時々ふとコイツからくる
毒舌に僕泣きそうです


『よし、出来たよ』
「おー、さすが上手いね」
『中学時代誰が結んでたと思ってんの?私よ!』

そう、俺は昔も不器用だからな
もうこの不器用は諦めるしかないのだろうか

「また明日も頼むわ」
『なんかそう言われると新婚みたい』

ブフォオオ

『ちょ、何!?汚っ!!』
「お、お前、公衆の面説でなにいってんの!!!??」
『え、だから新婚みた…』
「あー!!もういいよ!!!」

時々アイツはああ言って
俺を不意に揺らがしてくる
……っとに敵わねぇ

『…ねぇ』
「あ?」
『ネクタイこれからも締めてほしいなら』

"一緒にいてくんないと
してあげないんだからね!"

そういって友達を見つけ
駆けていくアイツは
ぜってえズルい

言われなくても
お前に嫌われても疎まれても
一緒にいてやんよ!!
 

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