短編の章

□Wildlife cartoon
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「はい、コレでも飲んで落ち着きなさい」
――ピーチが、少女に紙コップに入ったジュースを手渡す。少女は「ありがとう」と小さな声で呟くと、ジュースを少しだけ口に含んだ。
「大変だったね。」ウルフが言った。すると、フォーが不満そうにそっぽを向いた。
「ごめんよ。きみのパートナーを助けられなくて」
「ううん。気にしなくていいわ。全部私が悪いんだもの…」
少女は、そう言うと「ゲツエイ…ごめんね…」とすすり泣き始めた。

「…そういえば、名前は何て言うの?」シーダは、少女に尋ねた。
「…マト」少女は、はっきりと「マト」と名乗った。
「マトか……」シーダは了解したように頷く。

マトは、フォーを見て、口を開いた。
「貴方のセイントビースト、強いのね」
フォーは、精悍な顔つきで、マトを見た。――マトは続ける。
「貴方のその強さを見込んで、頼みがあるの。さっきのビッグバンホエイルから、私のゲツエイを助けてほしいの!」
「断る」
―――――――――即答だった。一瞬にして流れる沈黙。
「ちょっと、フォー!そんなヒドイこと言わなくたって…」
沈黙を破ったのはウルフ。フォーを必死に咎めるが、フォーは全く屈しない。
「考えてみろ、ウルフ。なぜこの僕が、赤の他人の為にピコを使わなければならない?…それに、自分のセイントビーストが食われたのは、お前が弱いからだろう?自分のパートナーくらい自分で助けたらどうだ」
フォーは、あっさりと吐き捨てた。マトは、一瞬ビクッとして、
「そう…だよね。貴方の言うとおりだわ。ごめんなさい、変なこと言って。…ゲツエイは自分で…」
「ちょっと待って!!」
ウルフが、マトの言葉を遮るように口を開いた。
「俺達が、一緒にゲツエイを助けに行くよ。やっぱりほっとけないし」
「おい、ウルフ!何言ってるんだ!勝手に決めんな!」
「フォー。自分がもしマトと同じ立場だったらどうする?彼女の気持ちも察してやれよ」
「そうそう。アンタってホントお堅いヤツよね!…マト、私とシーダも協力するわ!」
2人の言葉に、マトの表情が明るくなった。
「…さぁ、フォーはどうする?」
ウルフに問われたフォーは、ムスッとしながらも、
「…しかたがないな」と答えた。その言葉を皮切りにマトの表情は、一番明るくなった。
「みんな…ありがとう…!」

ウルフ達は、円陣を組んでいる。
「よし、みんな!ゲツエイを絶対に助けるよ!」
「おう!」
「そのためにも、作戦会議を念入りに進めよう!!」
「おう!!」
―――――こうして、ウルフ達はゲツエイを助けるために、作戦を立て始めた。

―――――――――待ってろよ、ビッグバンホエイル!!――――――――――――――
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