短編の章

□Wildlife cartoon
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「そんな…い、いやぁ…」
少女は、目の前の大きな生物を震えながら見上げている。
「そんな、わ…私のゲツエイを返して…!」
今にも泣き出しそうな少女などには目もくれず、大きな生物は大きな口に、ハムスターのような生物を咥えている。ハムスターのような生物は、決して食べられまいとふんばっている。
だが、少女は怯えていて立ち上がれない。
「だ、誰か…助けて…!」

ふいに、少女の目の前を横切り、炎を纏ったインコのような鳥が大きな生物に突っ込んで行った。
――――少女は、茫然としている。

「やったか…!?」少女の背後から、少年の声が聞こえた。
少女の前に現れたのは……フォー、ウルフ、ピーチ、シーダ、そしてラビ、クッキー、サキ。
「え…」
「きみ、大丈夫かい?」ウルフとシーダが少女のもとに駆け寄り、声を掛ける。
「は…はい…」少女は、俯きながら言う。

「ピコ、戻ってこい!」
フォーの声とともに、ピコが通常飛行の状態でフォーの肩へ降り立つ。
「…!あの!私の、私のゲツエイは!」少女は、か細い声でフォーに問う。すると、フォーはふるふると首を振り、「残念だが…」と静かな声で答えた。
「……そ、そんな…」少女は、がっくりと肩を落とした。
――先ほどの大きな生物は、ゆったりと降り立つような動作で消えていった。――ゲツエイを飲み込んだ後に。

「そんな、いやだよぉ…ゲツエイ!!!」

少女の叫ぶ声が、公園全体に響いていた。
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