短編の章

□Wildlife cartoon
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「フォー、シーダ!」

ウルフは、2人の少年に声をかけた。2人は、ウルフの方を振り向く。
「あぁ、来たか」
琥珀色の髪と白い目が特徴的な少年が口を開いた。――彼が「フォー」。ウルフの恋人で友人である。フォーもセイントビーストを連れている。インコの姿をした「ブレイブパラキート」の「ピコ」が、彼のパートナーである。
「2人とも久しぶりー!」
紫に光る黒髪と白い眼帯が特徴的な少年が、ウルフ達に向かって手を振る。――彼が「シーダ」。ウルフの友人で、彼もセイントビーストの保持者。ネコの姿をした「クレイリンクス」の「サキ」が、彼のパートナーである。

フォーとシーダは、ウルフ達のもとに駆け寄った。
ウルフは、笑顔を浮かべているが、ピーチはどこか不機嫌そうだ。
「なぁ、ウルフ」
「何?」
「ピーチのヤツ、なんで不機嫌なんだ?」フォーは、ピーチを指差した。
「さぁ…?」ウルフは首を傾げた。
「お久しぶりねぇ、フォー。ますますキレイになっちゃって、こっちが憎らしいわ」
ピーチは、不機嫌そうに言った。
「どうしたんだ、お前は」
ピーチは、しばらくの間フォーを睨みつけていた。

「フォー、さっき言っていたヤツは?」ウルフが、唐突に訊いた。するとフォーは懐からデジカメを取り出し、ウルフにデータを見せた。
「あまりにも大きかったものだから、上手くは撮れなかったかもしれない」
カメラの画面には、何か黒くて大きな生物が、ゆったりと空中を泳いでいる動画が映されている。
「ちょっと、これじゃあはっきり見えないじゃない!」ピーチが言った。
「しかたないだろう!被写体が大きかったんだ!」フォーは、再生が終わったデジカメを再び操作する。シーダは「ねぇ、ねぇ、続きは?」とありもしない続きを催促している。
「こいつ、見たことあるなぁ…」
ウルフは、首を傾げてう――んと唸っている。フォーは「だろうな」と答えた。
「君なら、見たことがあると思っていたんだ。確か……」
「!ビッグバンホエイル!!」ウルフが、ポンと手を叩いた。
「…で、本物は何処に行ったのよ」ピーチが、訝しげに訊く。
「――…今さっきここを去ったばかりだから、そう遠くには行っていないと思う。この辺りを探せば…」

――――――――フォーの言葉を遮るように、少女の悲鳴が聞こえた。
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