短編の章

□Wildlife cartoon
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鼻をヒクヒクと動かすラビに、1匹の犬のような生物が近づく。ラビは、彼の存在に気づき、耳をパタパタと動かした。

そう、この犬こそ、ピーチのセイントビースト、「ライラハウンド」の「クッキー」だ。
好奇心旺盛なクッキーは、ラビのような種族の違うセイントビーストとも仲良くできちゃう「友達100人できるかなタイプ」。――まるで、誰かさんとは大違いだ。

「おぉ、クッキー久しぶり。少し太ったみたいだね」
ウルフにそう言われて、クッキーもラビのように、腹を覗きこむ。
一方のピーチは、鋭い目つきでウルフを睨みつける。ウルフは勢いに負け、「冗談冗談…」と呟いて引き下がるばかり。

「……そういえば、アイツはまだ来ないの?」
ピーチが、そう切り出した。
「あぁ、何度も電話したんだけどね。繋がらないんだ」
「全く、どこほっつき歩いてんのよ…!」
ピーチが唇を噛んだ瞬間、ウルフのケータイが鳴った。ちなみに、着メロはルカルカ。
「はい、もしもし。…フォー?」
ウルフの横で、ピーチがガタンっと音を立てた。
『久しぶりだな。ウルフ、もう着いたか?』
――もうとっくの間に着いてるっつの!ピーチは電話越しにそう言いかけた。
「ああ。…てか、フォーは何してんの」
『僕?僕は今、公園のステージで面白い物を見つけていたのさ。シーダも一緒だよ。残念だね。もう少し早く来ていたら見れたのに』
――そっちで何変なもん見つけてんのよ!早く来いし!ピーチは、またツッコミそうになった。
「わかった。そしたら、ピーチ連れてそっち行くよ。待ってて」
ウルフはそう言って、電話を切った。
「なんで、私達が行くことになったのよ!」
ピーチは言った。
「うーん、だって、フォー達に手間取らせるの悪いし、それに俺もフォーが言っていた面白い物が気になるんだ」ウルフはそう笑うと、歩き出した。

「全く…そろいもそろって変人ばかりね。私の周りは…!」

そう呟くピーチもマトモとは言えないが…。

ピーチは、ウルフの後に続いて歩き出した。そのあとを、ラビとクッキーが静かについて行った。
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