短編の章

□Wildlife cartoon
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「おいおい…」
ウルフはため息をついた。何度も電話をかけるが、お目当ての相手は出ない。ウルフは、諦めてケータイを閉じた。―――そんなウルフに忍び寄る人物。

「ちょっと!!」

突然聞こえた少女の声に、肩を振るわせるウルフ。恐る恐る振り向くと、そこには彼がよく知る人物が立っていた。

「呼んでおいて電話に出ないなんてどういうつもり!?」
 
――しまった。コイツも呼んでたの忘れてた。
ウルフの友人・ピーチ。彼女とウルフは中学からの付き合いで、彼女もセイントビーストを連れている。ピーチは一見するとしっかりものに見えるが…実はひと癖ある少女なのだ。

ウルフはまさかと思い、ケータイをもう一度開き、履歴を確認する。

―――――案の定。着信履歴は、本日中でピーチの名前のみで埋まっている。
見ての通り、ピーチは束縛癖のある少女なのだ。そのせいで、ウルフは疲れることもしばしば。

「ごめん!電話してたから気づかなくて…」
「私以外の女に電話するなんて良い度胸じゃない?しかも、私の電話を無視して」
「違……ッ!女じゃないよ!」
「そうやって否定するところがますます怪しいわね」
ピーチは、不機嫌そうに腕を組んでそっぽを向いてしまった。ウルフは、やれやれと頭を掻く。

すると、ラビがピーチの足を静かに鼻で小突いた。
「あら、ラビ久しぶり。少し太ったんじゃない?」
ピーチは、ラビの方を向いて身を屈める。ラビは「太った」という単語が気になったのか、自分の腹を覗きこんでいる。
「ニンジンビスケットの食べ過ぎかしらね」
ピーチは首を傾げて笑った。
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