おはなし

□バス・タイム
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<バス・タイム>

「ふぅ…。」



湯船に浸かれば、自然と息が漏れる。

軽くシャワーを浴びたものの、体も洗わずに湯船に浸かるなんて

普段はしないけど、今日はなんとなく予感があって。



「ゆずる、入るぜー?」



きぃ。風呂場のドアが音を立てて開くと、ヒノエが入ってきた。



「お前、やっぱり入ってくるんだな」

「当たり前、あんたが入ってるんだ」





馬鹿なんて言いつつも、予感通りだし嫌な気はしない。



「ゆずるちょっとつめて」



体を横にずらし、端によってやると

手桶で湯船の湯を汲み、体を軽く流して

さも当たり前かのように、ヒノエが湯船に入ってきた。

一般的な家庭用の風呂よりは、いくらか大きく出来てはいるものの

男二人で入るには窮屈で、大量の湯が淵から溢れていく。

自然とヒノエの方へ背中を向け、股の間に入って体を預けると

肩に腕が乗り、頬に口付けられる。



「どうしたんだい?今日はやけに素直に甘えてくるね。

ま、オレは嬉しいけど」

「駄目だって言ったって、どうせお前は入ってくるんだろう?

だったらこうした方が、ゆったりできる。…それだけだ」

「ふーん、それだけ…ね。」

「とにかく、変な事はするなよっ!」

「へいへい」



本当は、絶対に嫌という訳でもないんだ。ただ、恥かしいし…

こいつの場合”待て”くらいはちゃんと躾ないと調子に乗るから。

肩に回された腕が熱いだとか、鼓動がいつもよりも早く感じるのは

”お湯に浸かってるせいだ”なんて言い訳もしっかりと準備して。

もう少しこのまま、体を預けて甘えるのも悪くないよな。





                    ∽∽∽∽∽∽∽∽∽





しゃわしゃわと、耳元で音を立てながら泡が弾けていく。

男の体なんて洗って、何が楽しいのか…。泡立てたスポンジで

くるくると俺の体を撫で付けて、嬉しそうにしているヒノエを

見ていると苦笑してしまう。



「お前さ、そんなことして…何が楽しいんだよ?」

「別に。楽しくなんてないさ」

「じゃあ、やめればいいだろう?」

「んーん。オレはね、オレの大切なものの管理を人任せに

できるような性質じゃないんでね」



もう…好きにしてくれ…。

なすがまま、されるがままというのは、こういうことだろう。

調子に乗ってるこいつを見るのは、ちょっと腹が立つけど

こんな扱いをされるのも大分慣れてきたし、大切にされるのも悪くない。

突っ立ったまま、身を任せていたらスポンジが中心に触れた。



「おまっ!そ、そこは自分で洗うからいいっ!!」

「だーめ。全部オレの好きにやらせておいて、ここだけは駄目なんて

それはないんじゃない?」



そんなもっともらしい理屈を言われたって、嫌なものは嫌なんだ。

頭を叩いてやろうとしたら、その手を取られた。



「あんたの行動はお見通しだよ。照れてるんだろう?その証拠にほら、

体は嫌がっていない。たまには素直に流されてみるのも悪くないぜ?」



取った手を俺の中心に沿わせながら、浴室の壁にもたれ掛らせるように

体を押してくる。背中が冷たいタイルに当たり、びくりと体が震えた。

触らされた自分の中心は、しっかりと主張を始めていて、意識をした途端に

体中の熱がそこに集まるかのような気がした。



「どうする?オレは別に部屋まで待てないことはないけど?

あんたはこのままじゃ辛いんじゃないのかい?」



意地悪く耳元で囁くと、シャワーで体中についた泡を流し始める。

その間、何度も何度も首筋にキスを落としながら…。

こういう時のこいつは本当にずるい、全て自分のペースで事を運ぶ。

俺の思考をすっかり奪い取って、YESと言うまで執拗に攻めるんだ。

シャワーを止めると、今度は唇にキスをされる。舌が口内に入り込んで来て

俺の舌先を軽く突付いた。びりっ、と電気が走ったように全身が痺れる。

ちゅ、と音を立てて舌を吸われ、歯列をなぞられる。唇を甘噛みされて

陥落させられた。体の力が抜けて、もう立っているのもやっとだ。



「ヒノエ……もう…」

「ふふ、了解。姫君の仰せのままに。」



ヒノエはその場に跪くと、俺の中心を口に含んだ。滑った暖かい感触が

リアルで、背中が仰け反る。そのままゆったりと上下させ、くびれの

所で止めては、ねっとりと舐め廻す。その度にいやらしく腰が動いてしまい

逃げ出してしまいたいほど恥かしい。

やがて唇が離れて、ちゃぷ、と指を舐める音が聞こえてきた。そして……

ツプリ、と後孔へ指が挿入された。掻き混ぜられ、抜き差しを繰り返される。

双珠を口に含まれ、転がされると同時に、中心をゆるゆると扱きあげられて

たまらずに、ヒノエの髪を掴んだ。

その瞬間、内部を掻き混ぜていた指が、一番いいところを掠める。



「あっ…ああぁっ」



これが自分の声なのかと、耳を疑いたくなるような甘い嬌声が響く。



「ふふん。ここが感じるのかい?」

「ばっ、ばかっ…くっ…あぁ」

「それでいい。あんたは俺だけを感じていればいいんだ」



かりかり、と執拗にその場所を引っ掻かれ、頭の芯が真っ白になる。

快楽だけを貪るかのように、意識がそこに集中して……。



「ヒノ…エ…も…もうっ」

「ああ、出せよ。全部、受け止めてやるから」



言いながら双珠から唇を離し、中心を再び口に含まれた。より一層激しく

内側を掻き混ぜられ、きつく中心を吸われた瞬間。



「あああぁぁっ……」



びくびく、と中心を痙攣させながらヒノエの口内に白濁を放つ。それを

満足げに飲み干し、俺を見上げながらにやり、と笑った。口の端に残る

白濁をぺろり、と舐めて妖艶に笑う様は、瞳の奥に獣の怪しさを秘めていて

ぞくり、と背中に何かが伝い、まるで引き寄せられるように、その場に座り込む。



「俺も…お前が…欲しい」

「別に良いけど。あんた…できるのかい?」



できるかなんて、わからない。ただ…欲しいと思った。浴槽の淵に

ヒノエを座らせて、その前に跪く。初めてまじまじと見る、自分の物以外の

それは、逞しくそそり立ち、充分に欲望を漲らせていて。

恐る恐る口に含むと、少し苦味を感じた。



「…くっ…ゆずる」



苦しそうなうめき声に顔をあげると、ヒノエの顔には欲が孕んでいて

いつもと違うその顔に、恍惚感を煽られる。いつもヒノエがしてくれる

ように、唇を上下させながら強弱をつけて吸い上げる。ちゅぷ、と一際

大きな音が響いて、余計に興奮が高まっていく。夢中で繰り返していると

頭を両手で掴まれ、顔を上げさせられそうになり、思わず反発してしまう。



「ゆずるっ…やばい…から…離せっ」



ヒノエの自身がより一層大きく誇張した瞬間、熱が口内へ放たれた。どくん

どくん、と脈打つ自身に欲を煽られ、抵抗も感じずに放たれたものを飲み下す。

あごを掴まれ、今度こそ顔を上げさせられた。目が合ったヒノエはどことなく

恥かしそうで……それでも愛しそうに微笑んでくれた。



「ゆずる……大丈夫か?」

「…大丈夫って…当たり前だろ?」



お前のものだから、嫌なわけがない。そう言いながら笑えば、突然手を掴まれ

勢いよく引っ張られてキスをされた。



「まったく。あんた…その可愛さは犯罪だろ?悪いけど、もう止めて

あげられないよ?オレの余裕を奪ったんだ、覚悟はできてるんだろう?」



犯罪?

余裕?

覚悟?

言われた事の意味がわからない。

わからないままに後ろを向かされ、両手を壁につかされる。腰を引かれると

そのまま後ろから一気に貫かれた。



「…くっ!…あっああぁっ!」



勢いよく貫かれ、目の前が真っ白になる。苦しくて息の仕方さえ忘れ

頬を涙が伝った。それでも律動は止まらなくて……。苦しさを紛らわす

ように必死にヒノエの名前を呼んだ。



「ヒノエ…あっ…ヒノ…」

「ゆずるっ…愛してるっ」



背中に何度もキスを落とされ、苦しみが消えていく。愛してると名前を

呼ばれるたびに、衝撃が快感へと変化していく。



「ヒノエ…もっと…呼んで」

「あぁ…いくらでも…。あんたの…望むまま…に。愛してる…からっ

ゆずるっ…愛…してる」



ああ、俺もお前を愛してるから。

声にはならなかったけど、伝わっていると信じてる。






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お風呂でエッチ。後ろ向きだとキスができなくて寂しいのです。(ふうか)


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