おくりもの

□有川兄弟の災難。
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*CASE 2 食事の時間。





「…なぁ…」

「ん?」

「…なんで今度は兄さんなんだ?」

「あ?何が?」

「だからっ!なんで今度は兄さんが俺を抱きかかえてるんだって聞いてるんだよ!!」



ええと…つまり状況としてはアレ。

みんなごはんだよー!と可愛らしく言ったかどうかは知らないが

とにかく、譲がダイニングテーブルに料理を並び終えた。

そして譲が自分の席に着こうとした隙を狙って、将臣が自分の

膝の上へと抱きかかえたのだ。



「まぁ…あれだ。そこの奴らが危なっかしいから…な?」

「そうですね、兄上は危険ですから近づけないのは得策かと。

でも、それなら私のところでも構わないと思いませんか?…ね、譲。」

「クッ…弟君は熱でもあるらしいな……自分がどれだけ危険か…理解できないようだ

ほらっ…譲……来いよ…。俺はいつでも…お前のものだ…」

「「お前らのことだろっ!」」



さすが有川兄弟、どんな時でも息が合う。

そんな事してると、ご飯冷めちゃうよ?

と、作者が突っ込んでしまいたくなるが。

それはさておき、ニコニコと笑顔を絶やさなかった銀が

突然悲しそうに顔をゆがめて、譲の隣へとにじり寄る。



「そんな…少なくとも私は譲を愛しているだけです。

片時も離していたくはないと、常に願っているだけ……」

「おいおい、お前…なんか胡散臭せーぞ?」

「とんでもない。疑うのでしたらこの場で胸を切り開いて

私の心をお見せいたしましょう」

「銀…そこまで…?」

「譲もほだされてんじゃねぇっ!!」

「あっ…つい…」

「つい…じゃねぇーだろ…」



チッ…。

因みにこの舌打ち、銀の心の中の声である。

本当に胸を切り開かれていたら危なかっただろう。

そんな騒ぎが繰り広げられている反対側。

未だしっかりと将臣に抱きかかえられている譲の背後には

誰も気付かないうちにしっかりとにじり寄っているもう一人分の影。



「うわっ!?知盛っ!おまっ、譲の顎を掴んで何してんだっ!?」

「クッ…こいつが物欲しそうな目で…俺を見るから…な」

「俺がいつそんな目で見たんだよっ!?」

「クックック…無意識に誘ってるのか…悪くないな…」

「誘ってねぇーだろっ!ってか銀っ!譲の手にキスすんなっ!!」

「クッ…兄上は…心が狭くていらっしゃる…」

「当たり前だ!俺の弟に手を出すなっ!!」

「譲に触れることが出来なければ…私は寂しくて死んでしまいます…」

「だったらお前ら兄弟も仲良く抱き合って…りゃ……あ」

「……兄さん…それ…飯がまずくなる…」

「わ、わりぃ…」



見目麗しい銀髪兄弟。

兄弟仲良く、知盛の膝に銀を乗せて……。

美しくないとも言い切れないが…絵的に怖い。

とりあえず、食事くらいは美味しく…ね?

有川兄弟の災難はまだ続く。

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