おくりもの

□えぷろん。
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《えぷろん。》



とんとん。

包丁が野菜を刻むたびに、静かなキッチンに音が響く。

とんとんとん。

リズミカルに響く音がなんとなく楽しくなってくる。

とんとんとん。

とんとんとん。



「なんか楽しそうじゃん」

「そう見えるか?」

「すっごい楽しそうに見えるよ、なんかあったのかい?」

「別に何もないよ」

「ふーん…」



今日はヒノエの家に来ている。

寒いから鍋にしようぜ。

そう言いながら買い物をして、一緒に帰ってきた。

一緒に玄関をくぐり、同じ部屋で一緒の時を過ごす。

そんなことが嬉しくて、いつもの音が楽しく感じるなんて

……絶対に教えてやるもんか。



「おいっ、ぶら下がるなよ、危ないだろ。」

「だーめ、あんたが教えてくれるまでやめてやんない」

「仕方のない奴だなぁ…だったらそうしてろよ」



少し邪魔だけど、これは日常的だから慣れてしまった。

それに、背中越しに感じる体温も悪くないしな。

背中のコブは気にしないようにして、作業を再開させる。

切った野菜を水に晒し、ざるにあげて水を切り、

新しい野菜をまな板に乗せて、包丁を当てた。



「ちょっ…何するんだよ!」



背中にぶら下がるヒノエの手が、急にエプロンの脇から滑り込んできた。

シャツの裾から潜り込んだ手が、腹を撫で上げながら胸に向かう。

抗議の声を上げながら、ヒノエの方へ振り返ると

待っていたと言わんばかりに、頬に口付けを落とされた。



「ばかっ!何、発情してんだよ!!」

「ん、エプロン姿のあんたも色っぽいと思ってね」

「変態!」

「ふふ、可愛いあんたが悪いんだろ」

「俺を可愛いなんていうのは、お前だけだ」

「そうでもないけどね、ま…その方が都合はいいけど」

「ばーか、とにかく止めろよ。いい加減にしないと刺すぞ」



持っていた包丁をヒノエに向けてちらつかせる。

ヒノエは妖艶に笑って、包丁を持つ手に口付けた。

そして、刃すれすれの場所を舐めあげると、そのまま首筋に吸い付き

うなじを舌先で舐めながら場所をずらし、やがて耳朶に辿り着く。

唇だけで甘噛みされ、思わず甘い声を上げてしまう。



「……っあ…」

「いいよ、あんたに刺されるなら本望だね」

「ちょっ、ほんとに止めろって…」

「駄目だよ、もう止まらない…」

「やっ…駄目だって…」



カチャリ。

音を立てて、ベルトが外された。

抵抗しようと上半身をそらしたら、胸の突起をなでられて力が抜ける。

俺の弱いところを知り尽くしているヒノエからは、悔しいけど逃げられない。

その隙に下着ごとズボンを下ろされて、下半身が晒されてしまう。

急に圧迫感から開放された事により、中心が反応していたことを知る。



「ふふ、すっかり反応してるじゃん」

「ばかっ、言うなよ…」

「恥かしいのかい?可愛いねぇ…」

「だからそう言う事を言うなって」

「オレに反応してくれてるんだろ?恥かしい事なんて何もないよ」

「………。」

「少し腰を引いて…そう、それでいいよ」

「…っあ……ぁ…」



シンクの淵に手をかけて、四つん這いの形をとらされる。

抵抗する事を忘れ、誘うように自分から足を開いてしまう。

こんなこと…恥かしくて仕方がないのに……。

疼きだした後孔に絡みつくような舌の感触。

ねっとりと舐めては、舌先で蕾に割って入る。

待ちわびていた快感に、体が酔いしれていくのを感じた。

痺れるような快感に襲われ、シンクの淵を強く掴んでしまう。



「あぁっ……くっ…」

「感じるかい?」

「…っ…聞くなっ…」

「ふふ、足に力が入ってないよ」

「ぁっ…はっ……っ」



後孔から舌を離され、続いて双珠を口に食まれる。

口の中で転がされながら、軽く吸われて

下腹部に全神経が集中していくのがわかる。

くすぐったいような、甘い感覚に思わず腰を引こうとすると

中心を握られ、ゆるゆると上下に擦りあげられた。



「…っく……ぁ…」

「…ここ、良いのかい?」

「あっ…そ…こ……やっ…」

「ふふ、嫌じゃないだろう?ほら、ちゃんと感じて?」

「……あぁっ!…」



恥かしくて仕方がないのに流されてしまう。

自分から求めて動いてしまう体が嫌で、指を噛んでやり過ごす。

くすり。と笑い声が聞こえて顔が熱くなるのを感じた。

必死で逃げようと体をよじれば、後孔に何かが挿入される。

その圧迫感に息が詰まり、噛んでいた指を離してしまう。



「ゆずる力を抜いて……まだ、指1本だよ?苦しいかい?」

「……っ…」



力を抜けと言われたって…どうしたらいいのかわからない。

詰まった息を吐き出す事もできずに、シンクに指を食い込ませてしまう。

深く挿入された指が、くちゅくちゅと音を立てて体の中を掻き混ぜる。

その動きと、中心を扱きあげられる動き。

次第に体が反応していき、自然と声が漏れ出した。



「ぁ…あぁっ…」

「ふふ、可愛いよ」

「だまっ……ぁっ」

「ここ…感じるんだろう?」



指がある場所に触れると、体が跳ねた。

一番感じる所…そんな所があることをヒノエに教えられた。

触れる指も、舌も、手も、全てヒノエのもの。

そう思った瞬間、与えられている快楽が愛しく感じる。

残していた理性を手放して、全ての身をヒノエに預けた。



「ん?力が抜けたね。ふふ、やっとオレだけを感じる気になったかい?」



ヒノエの声が俺の感情を刺激する。

増やされた指が、狭い器官の中で絡まりながら感じる場所を刺激する。

与えられた全てが愛しくて、心地いい。

そして、ヒノエが欲しいと心から願った。



「ヒノエ…もうっ…」

「ふふ、了解。」

「は…はや…く…」

「可愛いおねだりだね…じゃ、いくよ?」



双丘を掴まれ、一気に貫かれた。

充分に慣らされたそこは、容易に受け入れていく。

だけどやっぱり…雄雄しくそそり起ったそれは指の質量とは比べ物にならない。

どうしても逃げてしまう腰を掴まれて、ゆっくりと抜き差しを繰り返された。

指では届かなかった場所への新しい刺激に、頭の中が白くなる。



「ひの…っ」

「ここに…いるよ…」

「…ぁ…っ…あぁ…」



服越しに伝わる、背中へのキス。

大丈夫…わかってるよ。

ずっと一緒にいたもんな。

今だって…これからだって…そこにいるんだろ?


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