おくりもの

□共同作業。
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<共同制作。>



「なぁ…お前ほんとにできるのか…?」

「まぁ、見てなって」



これで一体何度目か…。

ゆずるはずっとオレの側に立って見ている。

余程の心配性なのか……。

それとも余程の料理好きか……。

オレだって見ちゃいらんない程、下手って訳じゃないと思うけど。



たまにはオレが作ってやろう。

なんて、思い立って始めた料理。

作り始めた途端に帰ってきて、ずっと不安顔。

ったく、出来上がりを見せて喜ばしてやろうと思ったのに。



「ところで…お前、料理なんてしたことあったか?」

「ふふ、そんなにオレのことが気になるかい?可愛いねぇ…」

「茶化すなよ、手馴れてるから気になっただけだよ」

「ごめんごめん。怒ったかい?」

「別に怒ってないけど。で?」

「もちろん初めてだよ、心配かい?」



可愛いねぇ…目をまん丸にして驚いてる。

あんまり可愛いから口付けてやったら、今度はほんとに怒られた。

怒ったって可愛いから良いんだけどさ。



ってあんまりゆずるにばっかり構ってると料理が焦げちまう。

肉を炒めてる鍋に、切った野菜を入れて炒める。

これから後はどうするんだ?



「お前…本なんて見ながらやってんのか?」

「初めてだからね」

「そっか…。ええと、ここにだし汁を入れるんだ」

「ふふ、見てらんなくなった?じゃあ一緒にやろうか」

「そういう訳じゃないけど…」

「いいよ、あんたとの初めての共同制作も悪くないからね」

「ばか、そういうこと言うなよ」

「ほら、よそ見してるとヤバイんじゃないのかい?」



ふふ、慌ててだし汁を入れてる。

ほんとは作ってやりたかったけど…。

うん、こういうのも悪くないねぇ。



「ほら、一緒にやるんだろ?見てないで手伝えよ」

「へーへー」



手を出した途端に生き生きとし始めてる。

やっぱりゆずるはこうしているのが似合うねぇ。

オレなんてもう、手を出す暇もないけどね。

ゆずるがそれで良いなら良しとしてやるよ。



「なぁ…だけど、なんで肉じゃがなんだ?」

「ん?新婚家庭の定番なんだろ?」

「…ばかかお前…」



初めての共同制作の肉じゃがは、

いつものゆずるの味になっちゃったけど。

こうやって2人で何かをするのも悪くない。

ずっと一緒に、こうして作り続けていこうな、ゆずる。


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