おくりもの

□微熱。
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<微熱>

白いシーツの海。

溺れるように絡み合い。

お互いの息遣いだけが聞こえる静寂。

顔をあげれば、視界に映るのは高揚した譲の顔。



紅潮した頬、濡れた唇。

乱れた髪、虚ろな瞳。

全てがオレをそそっているようで。

血が沸き、体が燃えるように熱い。

背中を流離う譲の指先が、まるで

オレの心をかき混ぜているようで…

心を操られ、乱される。



「なぁ…ここ、感じるかい?」

「ばっ…!聞くな…よ」



舌が肌を這うたびに動く視線が。

掻き混ぜるたびに洩れる吐息が。

感じる所を教えてくれる。

だけど……。

声をもっと聞きたくて。

心がもっと知りたくて。



「…っく…あぁ…」



背中を撫で上げれば、しなやかに仰け反り。

艶やかにあがる嬌声。

見たことのない反応に…。

聞いたことのない声…。

全てがオレの余裕を奪っていく。

それなのに…全てを見逃したくなくて。



「譲、こっち向けよ……顔…見せて」

「…ば、か…」



顔を背けたまま、腕を額に乗せて。

唇だけが動く。

その仕草が一層そそる。



鼓動が高鳴り、熱が更に上昇していく。

自分ばかりが浮かれているようで…

少しでもこの熱を伝えたくて、強引に唇を奪った。



「口、もっと開けて?」



唇を割って、舌を絡ませる。

舌のざらりとした感触。

唾液が混ざり合い音を立てる。

貪るように唇を覆い、激しく吸い上げた。

時折、舌先同士が触れ合い。

甘く痺れるような感覚が競り上がってくる。



「譲…いいかい?」



早く満たされたくて。

譲だけに包まれたくて。

焦る気持ちを抑えて尋ねた。

答えはもちろん……。



「ああ、早…く…」



ほぐれた蕾に深く深く押し入る。

焼けるように熱くて…苦しい……。

汗が噴出し、体を伝って譲に落ちた。

譲の汗と混ざり、流れ落ちて。

やがてシーツの白い波に飲まれて消える。



「譲っ…やばい、オレ…止めてやれない」



甘くて、切ない。

すっぱくて、心地いい。

例えこれが、刹那の夢でもいいと。

快楽に抱かれて、理性を手放した。


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