おくりもの

□キスは好き?
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<きすは好き?>

「譲、あの二人は何をしているの?」



テレビを真剣に見ていた白龍が、急に俺の方を見て尋ねてきた。

本から目を離してテレビに目をやる。

最近やたらとテレビを見ては、尋ねてくるようになったから

今日も同じだろうと思ったんだけど……。

そこには……キスをする恋人達。

まさか…何ってキスのことじゃないよな?



「譲?…譲にもわからないことなの?」



説明しかねて黙ってしまった俺に、不思議そうに白龍が尋ねる。

こうなってしまった白龍を誤魔化す事は不可能だから。

どんなに恥かしくても、納得するまで教えてやらないとならない。

ふぅ。

溜息を一つ。

テレビを消して、白龍と向き合う。



「白龍は何がわからなかったんだ?」

「さっきの2人がしていたこと。あの2人は口唇同士をつけていたよ?」



やっぱり……。

白龍のわからなかった事はキスのことだった。

無邪気に微笑む白龍を責める事は出来ないけど

ちょっと恨めしく思うことがある。

どう説明をしたものかと頭をガシガシ掻いて。



「あれはキスをしていたんだ」

「キス…?」

「そう、恋人同士がする愛を確かめ合う行為。

唇を重ねるんだ。」



そう言った途端、白龍の顔が輝いた。

言うんじゃなかった…。

そんな後悔をしても、もう遅い。



「恋人同士が愛を確かめ合う行為だね?

なら、私も譲とキスがしたい」



いいでしょう?

なんて聞かれたって…

いいよ、とも。

嫌だよ、とも。

返事なんてできる訳がなくて。



恥かしくて俯いてしまった俺に追い討ちをかけるように

白龍が尋ねる。



「譲、キスをするよ?」



急に抱き寄せられて。

顔をあげると白龍の顔が目の前にある。



どきん。



心臓が跳ねた瞬間、口唇が重なった。

触れるだけの軽いキス。

それだけなのに…心が満たされて。

離れてしまった口唇が寂しいと思った。



「譲…不思議だね。私の心臓がドキドキしている。

譲の心臓も。なのに少しも嫌じゃないよ」

「ああ…不思議だな」



顔を見合わせてもう一度口唇を重ねる。

今度は少し長く…。

不思議の意味を確かめるように。



「譲、キスは好き?」

「ああ。白龍は?」

「うん、私は大好き。」


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