読み切り夢小説

□いま来むと×あらざらむ
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いま来むと言ひしばかりに長月の有明の月を待ちいでつるかな



貴方はいつになったら来るのですか?

「仕方ねぇから
またすぐ来てやりまさぁ」

と言ったのに

何故来てくれないのですか?

坂田さんが言ってましたよ

貴方が死んだと・・・

嘘でしょう・・・?

証明してください・・・

私はいつ迄も此処で待ってます

貴方が帰る日まで




いま来むと言ひしばかりに長月の有明の月を待ちいでつるかな

すぐ来ますと貴方が言ったばかりに毎晩待ち焦がれていると、九月の長い夜に明け方の月の出まで待ってしまいましたよ







あらざらむこの世のほかの思ひ出にいま一度の逢ふこともがな



「仕方ねぇから
またすぐ来てやりまさぁ」

そう言ったのは俺なんですがねぃ・・・

こんな処で死ぬなんて思いやせんでした

まだ伝えて無いんですがねぃ・・・

すいやせん・・・

あんたを置いて逝きまさぁ

あっちで待つために

最後に

あんたに逢いたいと思うのは

我儘なんですかねぃ・・・・

近藤さんのためなら

死んでもいいと思えてたんですがねぃ

今は

近藤さんよりも

あんたが大事でさぁ

先に逝くことを

赦して下せぇ




あらざらむこの世のほかの思ひ出にいま一度の逢ふこともがな

そう長く生きてはいないだろうこの世なので、あの世での思い出になるように、せめて貴女にもう一度逢いたい

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