剣技

□剣劇乱舞 第一話
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「……」



「……」



互いに何も言わないまま、廊下を歩く。



この空気が嫌いではないが、さすがにあの形相をしていた相手と一緒にいるのは居心地が悪いというか……




「お前が、菊岡さんの言っていた民間協力者なんだな」



「……!?」



唐突に言われた一言に、足が止まった。


バイトの詳しい内容はスグにもアスカにも言っていないのに、なんでこの人が……!




「……驚くのはわかる。俺も、今し方君の事を知ったばかりだ。

俺は、菊岡さんと一緒の場所で働いている。今回の君の協力者だ。

説明されていると思ったんだが……」




「あ、あんたがか……

いや……。その、顔とか、名前とかは聞いてなかったから、その、びっくりして……」



「…………

その、悪かった……」




「いや……」




この事件は大事だと言われたので、俺以外に菊岡が用意したサポーターが付くことは知っていたが、誰なのかは知らされなかった。



それをこんな形で知ってしまった事が、何とも言えない気持ちにさせてくれるのか……



などとか思いながら、俺と飯島さんは教室までの道を菊岡の愚痴と一緒に歩いて行った。








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