〜魂の緒よ篇〜
□瞋恚
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その頃、黒い世界では…
高杉と弥生が向かい合っていた。
高杉「お前もちったァ口を慎め。黙ってりゃ弥生はどこぞの美女だろーと思われるんだからよ」
弥生「ふざけるな。この悪趣味め。何故我が再びこのような姿をせねばならぬのだ」
弥生はいつもなら無造作に束ねている長い黒髪を高杉によって胸まで下ろされ、身に纏う十二単を鬱陶しく思う。
高杉「男が女を綺麗にしたいって思う理由は一つだろ」
高杉は妖艶に笑う。
高杉「惚れた女を…汚したいって思うからだよ」
弥生「…戯けたことを申すなァ。貴様がそれほどに口が達者だったとは驚いた」
高杉「弥生の前だからに決まってんだろ?」
弥生「気色悪い。我は貴様に…その延長上の感情は一切持ち合わせていない。それにむしろ高杉、我は貴様が憎い」
高杉「フッ…お前はいつも俺とヅラは苗字なのに銀時だけは名前だよな」
高杉はキセルを含みながら目を伏せる。
まさか、嫉妬でもしているのか。