青エク
□P続 その丘にいる
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※これは紫陽花シリーズ最終回前編を娘目線から見た小話になります
よろしければどうぞ!!
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ほしかったのはきっとこんな未来じゃなかった…
嫌…っ起きて…
見たかったのは…こんな結末ではなかった…
ずっと一緒にいようって約束したじゃない…っ
今でも思い出す…あの10年前の図書館…
あの子が心から愛した彼が生きていた頃…
私から見ても二人は本当にお似合いだった…彼は油断できないような…とにかく底知れぬ胡散臭い人だったけど…でもあのこにだけはいつも優しくて私はそんな二人のそばにいられるだけで何だか嬉しかった。
好きだよ?ずっとずっと前から…あの子だけが特別なんだ
二人の間に流れる空気はまわりよりゆっくり流れるようで…
ずっと二人は幸せでいられると信じていた…
…なのに…こんなの辛すぎる…
三人で過ごす幸せな時間はあっけなく終わった。
…彼が死んだなんて…最初は信じられなかった。
その原因が自分の父にあるなんて…悪夢だった。
「嫌…っ私を置いていかないで…一緒に連れていって…っ」
苦痛なあの子の叫びが今もまだ…あの子が愛したあの人の亡骸と共に私の脳裏に焼き付いて消えない…
三年後パパに出会いあの子は再び幸せそうに笑うようになったけど…それでも…やっぱり…私はどこかでこの子が傷付く気がしていて…怖かったのかもしれない…
だから…二人が別れを選んだ事を内心ほっとしていたのだ…
「?誰の話をしているんですか?」
記憶を失ったあの子を見た時…怒りが沸き上がって…じっとなんてしていられなかった…
あの子の記憶をないがしろにしたパパが許せなくて…
あの日…パパの元を私は訪れた。
「あの子に…何をしたの?」
許せなかった
理解出来なかった
どんなに辛くて悲しい記憶でもなくていいものなんてない…なくしていいものなんてないのに…
わからない…
わからない…
でも…
「失ったものの大きさを実感したとしても…もう決めたんです…彼女にはもう二度と関わらないと」
迷いなくそう言い切ったパパを見て…すべてが今更な気がした。