青エク
□悪魔と花嫁 完結編
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※これは悪魔と花嫁シリーズの完結編となっていますここまで読んで下さった方々に心から感謝いたします!
ではどうぞ
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木漏れ日が眩しい朝…
今日も彼女はヴァイオリンを奏でる。
彼女と暮らすようになってからは無音に等しかった私の周りは常に音に溢れるものになった。
「本当に貴女はヴァイオリンが好きですね」
私の周りは綺麗な音色で満ち続ける。
「好きだよ?本当は一日中弾いていたいくらいだよ」
彼女は笑ってそう言ったけど…何だか彼女が言うと洒落にならない気がした…
彼女ならやりかねない…いつもヴァイオリンを弾いていると時間を忘れてしまうから…
それは困ります…
「貴女の一日の内の半分は私のものです。ヴァイオリンもいいですが私に構うのも忘れないで下さい」
貴女は私の妻なんですから勤めは果たしていただかないと…
私が腕を組んで彼女を見下ろすと…
「メフィストって子供みたい」
彼女は私の頬に手を伸ばして嬉しそうに笑った。
「もっと大人だと思ったのに案外子供なのね」
あれから時は経ち幼なく泣き虫だったはずの少女は大人になった。
人間の成長は随分早いみたいです…
穏やかに笑うようになり…一層に美しくなった。
それでも…
「…貴女が好きだから必死になって当然でしょう?」
美しい貴女に翻弄されるのも悪くないですが私は悪魔です。
私だって貴女を翻弄したい
何度も囁いてきたはずの愛の言葉なのに貴女はまた
「…っっ」
出逢った時と変わらずに真っ赤になって俯く。
いくら大人になっても貴女より私の方が人生経験が遥かに上です。
私に敵うなんて思わないでいただきたい…
なんて…
「…私も好きだよ…」
そんな私の意地も彼女のそんな囁きの前では無意味なようで…私はたまらずに彼女を強く抱き締めた。