青エク
□D続 別れの曲
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※これは「別れの曲」のメフィストverです
よろしければどうぞ!!
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永い私の時間の中で愛したのはたった一人だけです。
だからどうか…
彼女だけは誰よりも幸せになってほしい…
私はそう願った。
春の日差しが感じられる今日は…
彼女がここを旅立つ日でした。
荷造りをしている彼女を自室で待ちながら私はただ呆然とこれで良かったのだろうかと考えていた。
彼女に嫌われたくなくて隠し通してきた恋情…本当にこれで良かったのか…それはまだ答えは出ていなかった。
それでも…彼女が笑ってくれるならそれでいい…彼女の幸せは私の幸せなのだと自分に言い聞かせた。
私は十分に彼女に幸せを…ぬくもりをいただいたのです。
もうそれだけでいいんです
そっと机の上に飾った写真を私は見つめた。
一面に雪が積もったあの日…彼女とデートの真似事をした。
彼女が寮に入る前に確かな想い出がほしかったからでした。
写真にうつるのは幸せそうに微笑む彼女の姿。
ずっと写真などはあっても仕方がないと思っていた…実際彼女が幼い頃も写真などほとんど撮ることはなかった。
しかし…
何故かふいに彼女をこの小さな額に入れてそばに置きたくなった。
「諦めが悪いですね…私も…」
娘として愛すると決めたのに…こんな紙切れひとつに思いはせたいなど…愚かなものだ…。
私は溜め息をつきながらそろそろ時間なので玄関へと向かった。
彼女がここにいた年月など私からしてみたら一瞬のように短かったが…
「…困りましたね…」
ゆっくりと玄関へと歩く途中に私は言葉をもらした。
屋敷の中
すべてに彼女の想い出があって…
彼女がいなくなったとしても簡単にはその甘い残像は私の頭から消えないだろう…
彼女への恋情を無くすことは不可能です。
あの日二人で雪道を手を繋ぎ歩いた日に気持ちを伝えていたら…こんな結末にはならなかったでしょうか…
それがもしもっと悪い結果になろうとも…こんな気持ちを隠し彼女を騙し続けるよりよっぽど紳士的だったのではないか…私はふとそんな事を思った。