青エク
□B続 その手が好きだった 獅朗目線
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※これは「続その手が好きだった」の藤本神父verです!
ではどうぞ!
メフィストがあの子を引き取ると決めた日の事は鮮明に覚えている。
何事にも定着せず深入りはしない。
人の思考を軽々とこえて…それが当然とでもいうように笑う嫌な奴だった。
だから
「な…っ子供を育てるってのはお前が考えるより楽じゃない…っバカな事はよせ!!」
あの日俺はそう言ってアイツを止めた。
何かのゲームのつもりなのかしれないが人間の子供を育てるなんて無理だと思ったからだ
なのに…アイツは俺の言葉を無視して一人の少女の元に歩き続けた。
「メフィスト!!??」
差し出すメフィストの手…小さなその少女の手が…ゆっくりと添えられてしまった。
「ちっ…」
舌打ちをして俺はそれを止めようと二人の元に歩き出したが…
次第にその足は止まった。
メフィストの目が今までにないくらいに優しく…
小さなその少女を抱き上げている表情はまるで安心しきったように穏やかだったからだ。
いつも高飛車で我が儘な奴なのに…
それは紛れもなく…父親に相応しい表情だった。
救われたのはあの子ではなくメフィスト自身のような気がした。
あの時この二人ならきっと大丈夫…いい親子になる…
「そう思ったんだけどな〜」
あれから10年…
俺はメフィストの屋敷から出ながら思わず呟いた。
まさかメフィストがお嬢ちゃんに惚れるとは…
今日久しぶりにお嬢ちゃんといるメフィストに会ってさすがにやばいと思った。
アイツは口では親バカ気取ってるがその目は紛れもなく言っていた。
好き≠セと…
こんな恋愛に疎い俺が気がつくくらいだからそれはもう末期だった。
メフィストに自覚させたのが正しいかなんてわからないが…お嬢ちゃんを縛り付けようとしてたのはメフィストが間違ってる…
「これでいいんだ…」
私情をはさむはいいにしろ恋情をはさむならそれは親失格だ。
アイツがどうするかわからないが…
距離をとった方がいいだろうな…
仮にも年頃の女に惚れたんだ…けじめはつけないといけねぇだろ…
俺は煙草に火をつけながら
玄関を出て外に出ようとした。
すると…
「お?」
中庭で何かを話しているメフィストとお嬢ちゃんが見えた。
いつもなら俺の気配に気がつくと思うがメフィストにはその余裕すらないらしい。