青エク

□A六月の迷路
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放課後には雨は強くなっていた



私の傘には雨が降り注いでいて



道には水溜まりが出来ていた。



そして…



「迷った…」



また私は広い学園の中で迷っていた。



きっと私は方向感覚を失って生まれてきたんだと我ながら思う。



たまにいつもと違う道を通って帰ろうと決めたら…案の定今の状況におちいってしまった。



「まぁいいか…」



急いで帰るような予定もないし…



私は再び後もなく歩いてみた。



メフィストに再び会えた時は綺麗な青空だったのに…


今の空はどんよりと暗くて



まるで私の心みたいだった。



あの日は運命の出会いだと確信したのに…それさえ正しいのか今はわからなくなっていた。



「…きゃっ!?」



強い風が急にふいて私の手から傘が飛んでいってしまった。



「う…嘘〜」



風に乗って飛んでいく傘を私は必死で追いかけた。



どうして何をやってもうまくいかないんだろう…



いつも失敗ばかりして



何一つ上手に出来ない。



こんな自分が…



「え?」



必死に追いかけていた傘が逆風に飛ばされて…



今度は私の方に飛んできた。



私は恐怖から目をぎゅっと閉じた。



でも…痛みは襲ってはこなくて…



恐る恐る私はゆっくり目を開けた。



そこには…貴方の背中があった。



「危ないですよ」



吹き荒れる風が耳元をかする。



「…理事長…?」



まさか現れるなんて思ってもみなかったから私は驚いてしまった。
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