スター☆ガール


□第1話
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嫌な予感は見事的中。


銀八の言い分を理解した私は唖然となった。

ていうか、
何考えてんだこの変態教師。



「俺のメイドちゃんになれば退学の件は無しにしてやるって言ってんだよ?先生優しいだろ。それとも、退学になりてぇか?」


言って口を斜めにあげ、ニヤリと笑った銀八。

いやいやいやいや、
何、メイドちゃんって…
ただの使いっパシり何だろ。
ふざけんじゃねぇよゴラ。


改めてコイツが普通の教師ではない事を思い知らされる。
だけど、一日先生の言いなりになれば退学が帳消しになる。
不本意だったが、私は頷くしかなかった。くそぅ。


「……分かりました。何でもやりますよ…」


私は溜め息混じりに言った。


「よーし。そんじゃ、さっそく肩揉んでくれ。」

「え」

「ほら、早くしねーと退学にしちゃうよ?」


呆然と立ち尽くす私を見て、先生は意地の悪い笑みを浮かべた。

今すぐこの人の顔面にストレートを決めたい気持ちをこらえ、しぶしぶ先生の背中側に回る。

このドS教師め!!死ね!!天パ!!
と心の中で悪態をつきながら。


「強めにお願いね、双葉チャン♪」


私はさらにイラッとしつつも、言われたとおり強めに揉んでいく。
すると側で声がした。


「ぬしら、一体何をやってるんじゃ」


声の方へ振り向くと、そこに月詠先生が立っていた。

しめた!と思い、私は月詠先生に助けを求めようと、彼女の方へ身を乗り出した。


「あの、実は銀八先生が私に理不尽なk」
「コ、コイツが、急に俺の肩揉んでやるって言ってきたんだよ!」


すかさず、慌てた銀八が私の言葉を遮った。月詠先生に若干引きつった笑顔を向けている。
そして双眼を手で覆い、わざとらしく感嘆の溜め息を吐いた。


「まったくよォ、日頃の俺の頑張りを労ってくれるなんて…涙ぐましいよ。先生、感動だよ。こんな立派な生徒を持って俺ァ幸せモンだ。」


私は無言で銀八の肩に載せている手に思い切り力を入れて握ってやった。
すると案の定、いだぁっ!!と言って私を睨みつけてきた。

ちくしょー。
睨みたいのはこっちだってのにィイ!



「ほう…。お前が頑張っている所なんて見たことないがな。それより双葉、その姿はどうした?ボロボロじゃないか」

「あ…」


私は月詠先生の視線を追い、自分の服へ視線を落とした。

制服が所々破けていたり、糸がほつれていたりしている。袖を捲り上げ、露わになった腕には大きな痣がくっきりと浮き出ていた。
いつもの事ながらあまり気にしていなかったのだが、改めて見るとかなり酷い怪我だ。


「…あー、その、さっき転んじゃって…」


てへへと笑ってみせる。

もっと気のきいた嘘がつけないのかよ。
と自分でツッコミたくなった。


「随分と派手に転んだな」

「あははは…」


真顔で答える月詠先生に思わず苦笑い。

…たぶん、いや絶対。
勘のいい月詠先生の事だから、この怪我が喧嘩によるものだと気づいているだろう。
というかバレバレか。苦し紛れについた嘘も端から無駄だったな。

まぁそれはそれで仕方ない…。
だけど月詠先生なら大目に見てくれるに違いない。

こう見えて月詠先生と私は仲良しだからね。
ここは見逃してもらいたいものだ。


気がつくと、銀八がくるりとこちらに向き直り私をじろじろと見ていた。


「…なに人の身体じろじろ見てんですか、変態。」

「お前、手当てはしたのか?」

「は?…してませんけど」

「あ?」

「別に大したことないし。こんな傷すぐ治るから」

「何言ってんだこのバカ」


言いつつ銀八は立ち上がって私の腕を掴むと、そのまま職員室を出た。


「……あの、ちょっと!何するんですか!?」


私の腕を引っ張りながら、ズカズカ前を歩く銀八の背中に声をかけるが、反応がない。


何だこの展開は。


 
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