ひまわり


□♯8 空腹と依頼
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「じゃあ銀さん新八君、行ってきまーす」

「おい。あんまり外出歩かねー方が良いだろ…」

「え?…あぁ、平気だよ」

「平気じゃねーよ。不安だろーが(俺が)。やっぱ俺も行く」

「行ってお金おろして帰ってくるだけから大丈夫だって。それに神楽ちゃんも一緒だし。銀さんってば過保護」

「…とにかく、何かあったらすぐ連絡しろ、いいな?」

「ハイハイ。じゃあ行ってきます」


何時になく不安げな表情の銀さんに軽く手を振って玄関を出ると、下で待つ神楽ちゃんのもとへ急いだ。今回、銀さんと新八君はお留守番。


新八君と神楽ちゃんには私が誰かに命を狙われているかもしれない事を話していない。
真選組を訪れた(連行された)あの日の帰り、私が銀さんに二人には黙っててもらうようお願いしたのだ。

やっぱり、あんまり心配かけるような事はしたくない。

だけどもし万事屋が襲われるような事があったとしたら、その時の覚悟は出来ている。
そうは言っても、何も起こらないでほしいと願わずにはいられない。出来ることなら、みんなと離れたくないもの。




一緒に行きたいと言う神楽ちゃん(と定春。定春は散歩がてら)について来てもらって銀行へ来ると、さっそく私は自分の口座からマネーを引き落とす。(燃えてしまった通帳は再発行できました)(脅して)

その額は敢えて伏せておくが、なんだかんだで真面目に働いていた私なのでそれなりに貯金はあった。

とりあえず必要な分だけ下ろし、その足でスーパーへ向かうと今日明日分の食材を買う。
といっても、何度も買い物に出かけるのも面倒なので5日間くらいの買い溜めはした。

思った通り荷物はいっぱい。
さながらこの間新八君と買い物へ行った時のようだ。

しかしこういう時、その愛らしい顔からは想像つかないほど力持ちの神楽ちゃんがいるととても頼もしいものだ。定春もビニール袋を口にくわえ運ぶのを手伝ってくれている。
新八君より断然頼りになるではないか(あれは無理があった)。

まぁそもそもこの荷物の量の原因は、コイツらの異常な食欲にあるんだけどね。


「そういえば、日和が買ってきてくれた両脇にタマがついた変な棒、あれ何だったアルカ?」

「神楽ちゃん、その言い方は止めようか。これ読んでる方が勘違いしたらどうするの」

「日和は筋トレに使うって言ってたけど、あのタマ、硬いだけのただの玩具アル。何のトレーニングもならなかったヨ」

「だからタマじゃなくてダンベルって言おうね」


何だか神楽ちゃんは不満そうだ。

確かにそうです。完全に私のミスなのでした。
神楽ちゃんにとって50キロのダンベルを持ち上げる事なんてきっと新八君の眼鏡を捻り潰すより容易い事何でしょう。

銀さんには余計なモノを買うんじゃねェと怒られました(当たり前)。

私が良かれと思ってやった事はみんなの意に満たなかったようです。特に新八君は鍛えてもっと強い男になって欲しかったのに。残念です。

結局、万事屋の貴重なマネーを無駄遣いした事になりますごめんなさい。

でも散々文句ばっか言ってた銀さんもちゃっかりそのダンベル使ってくれてるみたいなので良しとしておこう。
うん、無駄なんかじゃない。


「じゃあ神楽ちゃんに今度はもっと重いダンベルをプレゼントしてあげるね」

「いらないアル。」


涼しい顔であっさり断られました。
やっぱりあのダンベル誰も必要なかったみたいですね分かってます。所詮、自己満の世界ですから。


「私ダンバルより酢昆布が欲しいアル」

「惜しいけど“ダンバル”じゃないからね神楽ちゃん。確かポケモンでそんなような名前のヤツいたけど違うからね」


神楽ちゃんは本当に酢昆布が好きなんだな。
そのうち全身が緑色になるぞ。


 
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