頂き物

□ファジーの夢物語
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あたいはファジー
あたいの名を知らない奴はいない








船を降りて街を歩こうもんなら、黄色い声があちこちで上がり、その場にいる奴らの視線は男女問わずあたいに釘付けさ








ほら、今日も……








「ファジー様ぁ〜、こっち向いて〜!」




「素敵〜!」




「なんてお美しいのかしら!」










ああ〜、カ・イ・カ・ン♡






なんて気持ちいいんだろうね










「ふふん♪」








あたいを賛美する声に気分良く歩いていると、磨き上げられたショーウインドウに映る自分の姿を視界に捉え、思わず足を止めた












ああ、あたいはなんて美しいんだろう…






肩まで届くウェーブがかった金色の美しい髪は上質な絹糸の様で触り心地は抜群






スラリと伸びた手足は雪の様に白くてすべすべでこれまた触り心地抜群






ヘーゼル色に輝く瞳を縁取る長い睫毛は濡れた様にツヤがあってあたいの魅惑的な眼差しをよりセクシーにさせる








シュッと通った鼻筋にぽってりとした艶のある厚めの唇は官能的










そして極めつけはこれ!






はちきれんばかりのおっぱいだよ、おっぱい








見た目はハリがあって爆発的なインパクトがあるのに、実際触ってみるとふんわり柔らかマシュマロおっぱい








ああ…、自分で見ても惚れ惚れする








あたいのこの美貌とスタイルと、強さ








女海賊王ファジーに怖いものなんかありゃしない






あたいは無敵だよ!










「ファジーさぁ〜ん!」








名を呼ばれて振り返ると、ハァハァ息を切らして近寄ってくる女の姿があった








「リカーもこの街に来てたんですね?会えて嬉しいです!」






そう言って可愛らしい笑顔で話しかけてくるのは…






シリウス海賊団にひょんな事から乗ってしまったという、運の無いヤマト出身の娘










いや…、運が無いって事はないね








あたいと肩を並べるもう一人の海賊王が乗る船、シリウスに拾われたわけだし何よりあの船はイケメン揃い






猿やガキも紛れ込んではいるけどもあの船にはあたいの愛してやまないあのお方が……








「ファジーさん、ロイ船長は一緒じゃないんですか?」






「あ?…ああ、ロイ様なら市場だろうね、多分。」






「そうですか。もしかすると今頃ナギさんとバッタリ会ってケンカしてるかもしれませんね。」






「あんたは一人?…珍しいね?」






「あ、はい。今日はあの…、し、下着とかを買いたくて1人で行動してました。」






「ふぅん。」






女相手のあたいにまで照れるとか…
この子はホントにウブだね、全く……








「ファジーさんは?」






「あたいは特に用はないよ、ブラブラしたかっただけ。」








「あ、じゃあどこかでお茶でもしませんか?」






胸元に紙袋をこさえてニコニコ笑ってるけど、何がそんなに嬉しいのやらね








「いいよ。この先に紅茶の美味しい店があるからそこでいいかい?」






「はいっ!」






まるで子犬だね、あんたは…






もしもあんたに尻尾があったら…
あんたはあたいに対して尻尾をグルングルンちぎれんばかりに振ってくれるんだろうね?






あんたは純粋に可愛いから…、嫌いじゃないよ
















二人並んで他愛ない話をしながら歩いていると…






「ファジー様の横にいる女は誰?」






「ファジー様にふさわしく無いわ。ちんちくりんね。」






「でもあの貧相さがファジー様の引き立て役になっていいんじゃないかしら?」








蔑む視線とクスクスと嫌な含み笑いが聞こえて来た








あたいの横で表情を硬くして身を縮こまらせる姿に胸が痛くなると同時に、そんな言葉を吐いた女達が不愉快極まりない!








「ちょっと、あんた達。」






「ファ、ファジー様!?」






「あたいの可愛い妹分をバカにしたらリカー号の甲板から吊るしてあんた達をサメの餌にするよ!二度とそんな事言うんじゃないよっ!」






「ヒィィ、ごめんなさい〜!」






「ふんっ!」








ダダダダ〜ッと転がる様にして逃げていく女達を見送っていると…






「怒ってる姿も何て素敵なのかしら、惚れ惚れしちゃう……。」








一部始終を遠巻きに眺めていた街人から感嘆の声があちこちで漏れた










………美しいって罪だね
何してても注目を浴びちまう








…っと、今はそれどころじゃないね








「あんなの気にする事ないからね。あんたはあたい程じゃないけど充分可愛いんだからさ。」








『さ、行くよ!』と声を掛けても一向に動く気配がない






「どうしたんだい?さっきの事なら今も言ったけど気にする事無…」






「ファジーさん!!」






「な、何だい、急に大きな声出したらびっくりするじゃないか。」






「私に少しでいいからおムネをください。」






「はぁぁ?あんた何を馬鹿な事言ってんだよ!?」






「だって、私本当に貧相で…、胸なんてぺったんこ…」






「……女性ホルモンが足りないんだよ、あんたは。」






ううう…、と泣きべそをかきながら胸を覗き込む姿が何とも可愛らしい






「胸なんか無くてもあんたは他にいい所が一杯あるじゃないか。自信持ちな。」






と、力強く言ってみたものの…






いい男揃いの海賊船に乗っていながらいつまでたっても色気のいの字も感じさせないなんて…






ある意味すごいよ、あんたは…






まぁ、それもこの子の不思議な魅力の一つだわね








「どうしてもあたいみたいになりたかったらリカー号に来な。あたいが直々にスペシャルコースのマッサージしてあげる。」






「え、ほんとですか??」






「あたいは嘘は言わないよ。」






「おっぱいボーンも夢じゃないですか?」






「いきなりボーンは無理じゃないかねぇ?一番いいのは男に揉んでもらう事なんだけど…」






「お、男……、揉……っっ!?!?」






「言ったろ?あんたには女性ホルモンが足りないって。」






「おいお前達、公衆の面前でなんて会話してるんだ。リカーはともかく…、シリウスの品位を損なう様な言動は避けろ、バカめ。」






「シシシ、シンさん、何でここに!?」






「居たら悪いのか?」






「と、とんでもない。ごめんなさいっ!」






「くだらん話などさっさとやめて船に戻れ。出港だ。」






「え、今からファジーさんとお茶しに行ぃぃぃ〜〜…っっ!?」






ガチャ








「い、行きません!すぐ戻りますからそんな物騒なモノ、チラつかせないでくださいぃ!」






「フン、俺は先に行く。少しでも遅れたらどうなるか…、わかるな?」








「はい、もちろんですっっ!!」


















「………あ〜あ、せっかくファジーさんとお茶出来ると思ったのに…って、ファジーさん??」






「♡♡♡♡♡」






「ファ、ファジーさん!?」






「よし、戻るよ!シリウスに今すぐ!!」






「へ?」






「お茶はシリウス号でしようじゃないか!!」






「ええぇぇ〜!?」














そうさ、この素晴らしいあたいの体はすべてあのお方の為なんだ








しなやかな手足、こぼれ落ちるほどの豊満な胸
魅惑的な眼差しもプルプルの唇も全てあのお方に捧げるって決めてるのさ






あたいを好きにしていいのは愛しいあのお方だけ








さぁ、今から行くからあたいを全力で受け止めておくれよ?








あたいを好きな様に弄んで、シン様ぁ〜ん!












おわり






mayuさん、素敵なお話ありがとうございます!!
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ほいっ(*^_^*)→→→seafaring lifeさま。




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