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□あたたかい寝顔(オールキャスト)
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湿気嫌いの航海士が乗っているおかげで、相変わらず快晴の空の下を航行するシリウス号。
穏やかな陽気に誘われてハヤテが船内から甲板へ出てくると、前方に丸まったソウシの背中が見えた。
「ソウシさん、何やって・・・」
「しーっ。」
「何やってんすか?」と言いかけたハヤテの問いを、振り返ったソウシが自分の唇に人差し指を押し当てる仕草で制止する。
そして、もう片方の手でちょいちょいと床を指さすと・・・。
「!?・・・こいつ、なんでこんなとこで寝てんすか?」
自然と話すトーンが小さくなったのは、床にころんと転がって気持ちよさそうに寝息を立てる○○がいたから。
夢を見てるのか、時折むにゃむにゃと可愛らしく唇が動いている。
まったくもって色気はないが、可愛らしさなら百点満点だ。
そして間もなくして。
「??ドクター、ハヤテ、何やって・・・」
「「しーっ!」」
今晩のおかずにと、ナギが釣り道具一式を携えて魚を釣りに出てきて。
「・・・・・・何やってんだ?こいつ・・・。」
とソウシ達と一緒になって○○を囲む。
さらに間もなくして。
「??どうした?サメでも打ちあがったのか?」
「「「しーっ!」」」
今度はシンが何事だとでもいうようにしかめっ面で出てきて。
「干物になりたいのか?こいつ・・・。」
と呆れながら、みんなと一緒になって○○を囲む。
そしてさらに間もなくして。
「おおおーい!おめーら・・・」
「「「「しーっっ!!!」」」」
ただでさえ地声が大きいリュウガが、さらに大声を張り上げながら出てきて。
「なんだよなんだよ、こんなあちートコでよく寝れるなあ。」
と苦笑しながら、みんなと一緒になって○○を囲む。
ハヤテ
「しっかしよく寝るよな。」
ソウシ
「ふふ、気持ちよさそうだよねぇ。」
ナギ
「ドクター、そんな呑気な事を・・・。日焼けするぞ。」
シン
「この陽射しだ、日焼けじゃすまねーよ。干物だ、干物。」
リュウガ
「シンじゃねーが、本気で干物になっちまうぞ、こいつ。」
床にしゃがみ込んで○○を取り囲む男達が、ひそひそこそこそと小声で話す。
「ああ、それなら大丈夫。今トワが・・・」
とソウシが言いかけた時。
「ソウシさーーん!!お待たせしましたあ!!!」
トワの、まだ少年っぽさの抜けきらない幾分高めのよく通る声が辺り一面にこだました。
「「「「「しーーーっっ!!!」」」」」
そして一斉に向けられるみんなからの「しーっ!」に、トワがムググ・・・と口を噤むと、抜き足差し足で傍までやってきて手に持っていたパラソルをソウシに手渡した。
「す、すみません〜〜〜。」
後ろでトワがぺこぺことリュウガ達に謝ってる間に、ソウシがパラソルで○○に日陰を作る。
「最初に○○ちゃんを見つけたの、トワなんだよ。」
パラソルでできた日陰にソウシ達も一緒になって入ると、むにゃむにゃと起きる気配のない○○を再度取り囲んだ。
「で、たまたま甲板に出てきた私を見つけたトワにどうしようかと相談されてね。パラソルで日陰を作ったらどうかって話になったんだ。」
それで倉庫にパラソルを取りに行ってもらってたんだよ、とソウシがみんなに説明した。
そうして再びみんなの視線が○○に向けられる。
陽射しを遮って、穏やかな風だけがパラソルの下に入ってくる。
さきほどよりもずっと快適だ。
シリウス号のお姫様を見る男達の眼差しは、海賊とは思えないほど優しくて・・・。
この大切な存在を、いつまでもいつまでも愛でていたいと思うのだった。
〜終わり〜