僕らの玩具

□始まり
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「咲希、この紅茶まずい」

「へ?あぁ、特売品だからかな?ちょっと待っててー」

「咲希ちゃん、このお菓子食べていいの?」

「うん!卒業祝いに買ったから自由に食べてね。恭弥君が気に入るようになるべく高いの買ったから」



部屋の真ん中にあるテーブルとそれをはさむようにある二つのソファ。一つのソファには恭弥君、もう一つのソファにはツナ君がそれぞれ座っていた。

2人は私の従兄弟でついさっき並盛小学校を卒業してそのお祝いをして欲しいっていうから招いたんだけど・・・

毎度毎度無駄に口が肥えている恭弥君に会うものを用意するのは大変で、でもそれが嫌なわけじゃなくて。おいしそうにクッキーを食べる2人を見ていると私も嬉しくなって来る。



「咲希ちゃん咲希ちゃん!ツナね、小学校卒業したからお祝いにキスして?」

「ブッ!!つつつツナ君!?!?」

「いいね、それ。僕にもして?深い奴」

「恭弥君!!」



なんてことを突然いいだすんだろうこの2人。小学生の癖に・・・中学生の私が何で慌てなきゃ行けないんだ。

しかも私はもう先週中学校を卒業したからすぐに高校生だっていうのに!

それでも期待の眼差しで見られると弱くて・・・・私は祝いの言葉と一緒に2人のほっぺにキスをした。

ツナ君は嬉しそうだけど恭弥君は不満そうだ。



「まぁ、いいや。夜楽しみにしておく」

「ぶっ!!きょきょ恭弥君!!」

「何で夜が楽しみなの??」

「ツナ君は知らなくていいの!」



慌てふためく私を見て笑ってるんだから恭弥君のドS!本当に、恭弥君は性格が小学生らしくない。

そんな恭弥君にされるがままにされてる私も高校生らしくない・・・。もうちょっと大人にならないと。



「それから・・・義務教育も終わったし、咲希は僕のところに永久就職ね?」

「・・・はい?」



恭弥君の突然の言葉に、私は笑みを浮かべたまま固まった。

ツナ君は永久就職ってなんだろう?っていう顔できょとんとしてるし・・・いまどき永久就職って・・・。



「・・・きょうやくーん?意味分かって使ってる?」

「分かってるに決まってるでしょ。そこの馬鹿じゃないんだから」

「んなっ!!」

「で、でもね?普通は中学校卒業前に受験っていうものをして「知ってる。馬鹿にしないでよね」じゃぁ、私が高校に合格してることも知ってるでしょー!!」



そう、私だってちゃんと高校には合格してる。

そうじゃないと、三期試験の勉強や準備でこうして今をのんびり過ごせてないはずだ。



「関係ないよ、そんなの」

「か、関係ないって・・・」

「咲希は僕が生活させてあげるから大丈夫。その高校には手続きしておくから」

「どんな手続き!?で、でもね?それじゃぁ、私これからどうするの?恭弥君が生活って・・・恭弥君これから中学生だよ??」

「僕専用のメイドにしてあげる」

「・・・はい?」



嬉々とした表情で、とんでもないことを口にした。私はまた固まるしかない。

ツナ君はわー!咲希ちゃんのメイド服見たい!って・・・なんでそういうこというかな!?おかしいよね!色々と!!



「母さんがいろいろ僕につけるんだけど、それ全部咬み殺しちゃったから頭を抱えてるんだよね」

「うん、分かってるなら咬み殺すの止めようね」

「やだ」

「やだって・・・」

「咲希となら群れてもいいよ。もう母さんに咲希を僕のメイドにするよう頼んじゃったからたぶん明日にでも頭下げてくるんじゃないかな」



そ、それは・・・困るー!!

ツナ君の家はごくごくふつー一般的家庭なんだけど、恭弥君の家は違う。なんたって並盛を支配する名門だ。

私もよく分からないけど、昔は貴族で今もお金持ちで裏でもいろいろやってて・・・とにかくすごいらしい!

そんな敷居が高い家はまたげません!!



「そっかぁ〜。咲希ちゃんメイドやるんだ!じゃぁ、またツナ達と会えるね!今度はいっぱい!」

「へ?」

「綱吉にしては頭が回ったね」

「え、なんで?」

「・・・僕のメイドってことは始終僕と一緒にいるからだよ」

「え、恭弥君とツナ君って・・・同じ中学校に入学するんだったの!?」

「「当然」」



2人は口を揃えていったけど・・・全然当然じゃないよ!?

こう言っちゃ悪いけど、ツナ君は普通よりも頭が悪い。運動も出来ない。とにかく、何もかもがダメダメで行くのは普通の並盛中学校だろう(私もそこ出身)

でも、恭弥君は違う。

頭がいい。性格に難ありだけど運動神経だって抜群で何でもそつなくこなせる。性格に難ありだけど、恭弥君ならどんないい中学校だっていけるはずだ。

だから同じ中学にいくなんて普通は思わないと思うんだけど・・・

って、問題はそこじゃない!!



「だめだよ!だめだめ!!」

「何で?」

「何でって・・・やっぱり恭弥君のお母さんも高校も卒業してないような娘がメイドっていうのも・・・ねぇ?」

「僕が懐いてるから問題ないよ。っていうか僕が懐いてる時点で決定みたいなものだよね」

「で、でもでも!」

「どうせ高校に行くのだって就職が難しいからで、何がしたいのか決まってるわけでもないんでしょ?なりたい夢とかもないんでしょ?だったら僕のところでメイドした方がいいよ」

「う゛・・・」

「ちゃんとした仕事だし、給料だってそこら辺の会社員よりは数倍以上いい。僕の家がお金持ちだって知ってるでしょ?」

「まぁ・・・」

「仕事は僕の世話だけど雲雀家時期当主として色々やってるから忙しいし・・・それなりに充実すると思うよ?」



あそこまでいわれちゃうと断れる理由がない。

別にそれほど高校に行きたかったわけでも、将来の夢があるわけでもないからだ。

メイドっていう響きが微妙だけど、給料はいいし仕事も・・・恭弥君の世話なら楽しそうだし。嫌だということはない。

ただ、高校も出ずに就職の言うのは世間的にどうなんだろう?と思うだけ。


・・・ただここまで嬉しそうにしてる恭弥君とツナ君を見ると何もいえなくなる。本当に、自分でも不思議なくらいこの2人には甘くしちゃう
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