ご主人様とメイド
□いつもどおり
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リボーンさんに相談したことで、すっと心が軽くなった。
んーっ と、手を伸ばし欠伸を零す。
問題は・・・これからどうするかだ。昨日のことを何もなかったようにして、綱吉様に接していいものか・・・
「・・・・・・どうすれば」
「何が?」
「何がって・・・綱吉様!?!?」
「ん?」
にこっと笑っておはようと頬にキスをされた。顔が真っ赤になって・・・瞬時に怒鳴りたくなったが、ぐっとこらえる。
今は、寝起きで顔も洗ってないし、パジャマだし、髪ぼさぼさ出し・・・女慣れしてるくせにそういう気遣いはないのかと心の中で怒鳴った。
「おはようございます・・・・」
「じゃ、朝食今日は部屋で食べるから着替えてすぐに俺の部屋にきてね」
「分かりました」
昨日のことについて触れなかったことにほっとしたり、何で部屋で食べるのか疑問に思ったり・・・
とりあえず、何も聞かないほうがいいだろうと(これ以上醜態をさらしたくないし)
綱吉様は用件だけ言って部屋を出て行った。
「・・・・よし!」
今日も、1日が始まる。
この生活に慣れてきていることが・・・恐ろしいと言うかなんと言うか。
「失礼します」
ノックをしてから、音を立てないように扉を開けた。
中にいた綱吉様は書類の山に囲まれて書類を必死に整理している。
私もボス候補だったから、何度か親の仕事を手伝ったことはあるけどここまで溜まった書類は見たことない・・・
やっぱりボンゴレともなれば規模が違うんだろうな
「うん。それ朝ご飯」
こちらも見ずに事務的な返事を返す綱吉様。なんだか虚しい・・・
指差された先にある朝食に手をつけながら考える。
いつも思っていたこと・・・私が綱吉様のそばにいる意味はあるのだろうか?
一応メイドとして雇われているのだからメイドとして働きたい。特にやることもなく、ぼーっとしてるだけというのはつらい。
「・・・・・・・」
不意に、窓の外に目をやると・・・
「裏庭って・・・意外と・・・」
「ん?」
「いえ、裏庭は何もないなぁと」
「まぁ。だって人目に触れないし」
表の庭が豪華絢爛なだけに、裏庭は何もなくてさびしかった。
何もないどころか草は生え放題で、誰も手入れをしていないと言うのが正解だろう。
「・・・もったいない」
「そう?」
「はい」
「だったら手入れする?」
「いいんですか?」
自分でも少し驚くぐらい、高い声が出た。
その声に驚いた・・・というよりは私の答えに驚いたようで綱吉様は少し目を丸くする。
なんか・・・失礼のような・・・
「出来るの?」
「馬鹿にしてるんですか!?」
「いや、本音。ご令嬢が庭弄りなんて聞いたことない」
「そう・・ですか?ほかの令嬢と関わりがなかったので分かりませんけど、私は普通にやってましたよ?庭師さんに教えてもらいました」
「珍しい。いいよ。やりたいならやれば?」
にっこりと綱吉様が笑ったので、言葉に甘えて私は部屋を出た。
さすがにメイド服じゃぁ汚れると思ったけど、ほかの服があるわけでもないし。
ボンゴレほどの金持ちなら服の一着や二着どうでもいいだろうと勝手に自己完結し私はそのまま裏庭に向かった。