ご主人様とメイド

□メイドの憂鬱
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「・・・はぁ」

「・・・サラさん?」

「ぁ、すいません。溜息なんてついて!咲希様はこんなところでよろしいのですか?」

「もう!敬語とか様付けじゃなくていいよ!」

「で、でも・・・」



私は苦笑するしかなかった。

咲希様は数ヶ月前までは私と同じメイドだった。とはいっても、私は恭弥様付きで咲希様は綱吉様付け。

だったけど・・・色々あって恋人になったらしい。しかも咲希様は妊婦で。

正式に綱吉様との婚約も発表して近いうち・・・多分妊娠してから結婚するのだから私とじゃ身分が違いすぎて・・・



「サラさんとは出来れば上下関係なくて友達がいいから。ね?」

「は、はい」

「で、何で溜息?」



ずいっとしかめられた顔を近付けてこられて私はまた苦笑。理由はとても些細なことだけど説明していいものか、考えてしまう。

内容が内容だし、咲希さんにとっても聞いて楽しい内容じゃないから。

私がいつまでも話さないから痺れを切らした咲希さんがほっぺを引っ張ってきて、いてて!!



「は、はなしまひゅから!」

「うん」

「・・・あの、咲希さんは・・・綱吉様とどれくらいの頻度でしていましたか・・・?」

「へっ!?そそそそれって・・・・っ」

「その、夜の営みを」



かぁぁと咲希様の顔が赤くなっていく。突然の質問過ぎて戸惑っているんだろう。

言葉を濁しているからそのままこの話題は終わってくれるかな、と思ったけど咲希さんは小さな声で答えてくれた。



「その・・・特に決まってなくて・・・大体、綱吉様の気まぐれっていうか・・・」

「そう、なんですか。でも・・・愛されていましたからね・・・」

「え?」

「綱吉様、咲希様がきてから他のメイドとの関係をキッパリきってしまわれましたし、嫉妬もよく・・・、はい」

「へぇ。それで、どうしてそんなこと・・・?」



やっぱりここまで聞いてしまったからには言わなきゃいけないんだろうな。私はやっぱり苦笑した。

どうしようもない不安と空虚感。

これをいったらやっぱり咲希さんは呆れるんだろうか・・・



「・・・私、とあるファミリーの令嬢だったんです」

「へぇ・・・?」

「でも、私の両親は私のことを道具としてしか扱ってなくて。誘拐されたら自力で帰ってくるしかない。それなのに男達の慰み物にはされる、勝手に婚約者は決められて嫁がされる」

「・・・」

「もう、嫌でした。でも逃げられなかった・・・」



いくあてはなくて私の自由に使えるお金なんて物もなくて。私はいつまでもかごの中の鳥だった。

見る人を楽しませなければ死んでしまう。苦しい、苦しい・・・どっちも苦しい。

そんなある日の、ことでした。



「私と恭弥様の出会いは私が自由になれた日で私のファミリーが壊滅したときでした」

「え・・・?」



思い出されるのは

恭弥様の姿だけ。
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