本編
□1章─The first be late─
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後ろ側の席につくべく、後ろへ歩いて行く。
───と。
「アンタこの髪綺麗よね」
「…いっ!?」
グイと髪を捕まれる。
ずるっ…
するりと頭に風が通る。非常にまずい。
…バレる。
「…どう手入れしてるの?朝シャンして遅刻ってのは嫌よ?」
周りからクスクスと笑う声が聞こえる。
そしてその女子生徒は更に力を込め
「やっ…やめ…!」
──次の瞬間、
ズルルッ…
ふいに頭が軽くなる。
…そして首がスースーする。
「!!!」
「…髪が一束分……抜けた?」
どう考えても有り得ないが、ウィッグを掴んだままボーゼンとしていた。
「……ッ!」
バレた!
そう考えたら、
足が自然と
「ちょっ…水純さん!?」
バンッ!!
「水純さん!!待ちなさい!!」
気付いたら、俺は無心にも走り出していて…
もう終わったと思った…
もうここに居られない…!
「……はぁ…はぁ…」
息を切らした時には、校舎の裏側の森にいたのだった。
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