黒子籠球2

□前菜
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ずるずる、ずるずる…
背後から覆い被さってくるやけに大きな身体を引き摺りながら一生懸命狭いキッチンで動き回る。
しかしいよいよ体力もなくなって、一歩一歩が重くなってくるともうダメだ、とばかりに「重い…」と唸り声が出てくるのだった。



「もーちょい頑張れよ」



「いや、充分私頑張ったから」



とにかく離れてよ、って言ったところで離れてくれるはずもなく「もー腹減って死にそー」とかほざく彼。



「離れてくれたら効率よく食事作れるんですけど」



「…あー腹減った」



あ、こいつ返す言葉なくてはぐらかした。そう思っても結局ひっぺはがすこともできず、大輝にされるがままになってしまう。



「ねー本当ちょっとでいいから。もう少しでできるんだからさ」



「そーかもしんねーけど…」



ぱくん、と何を血迷ったか突然私の耳に噛り付く大輝。
え、ちょ…、とあたふたすれば「もー待てねー」とか言い出して何やらごそごそと私の身体をまさぐり始める。



「ストップストップストップ!」



「や、もー無理」



「私はあんたのご飯じゃ…や、だ…っ!」



抗ったところで体格差もあれば力の差も歴然としている私が勝てるはずもなく、食事前だというのになんだかんだと私が食べられてしまうのだった。










好きなものは最初から




(あー…冷めちゃった…)
(チンすりゃいーだろ)
(こんにゃろー…)


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