黒子籠球
□さむあったかい
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こつんこつん、と頭に小さな衝撃。フッと意識が浮上して、重たい瞼を開ければ福井がこちらを覗きこんでいた。
「こんなとこで寝てったら風邪ひくぞー」
「…ん、んー」
まだ覚醒しきっていない頭で状況把握は難しい。今何時だろ、てかここどこだっけ…?段々とクリアになっていく視界に、あぁ部活の片付けしてて、残り練習するという彼のことを待っていたんだったとようやく思い出す。
「寝ぼけてんなよ?」
「ごめん、今支度する…」
むくり、と身体を起こせば、掛けられていた何かが落ちる。何かと思えば福井の上着で、どうりであったかかったといまさらながらに気付いた。
「ありがとう、健介」
上着を渡そうと手を伸ばせば、「寒いだろ、羽織っとけ」とぶっきらぼうに吐き出される。それでも気遣ってくれてることが嬉しくて「ありがとう」と笑えば「ほら、帰っぞ」と手を差し出された。
「うん」
握り返した手は温かくて、彼の優しさを実感しながら帰路についた。
優しいあなたが大好き
(また明日ね)
(おー)