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□おわらないエンドロール
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ごめんなさい
そうちいさく呟いた貴女の声は、けして広くは無いこの空間にあっという間に吸い込まれてしまった。
いつもはくるくるとかわるその表情も、俯いて長い髪に隠れてしまってうかがい知ることが出来ない。
「なにが ごめんなさい、なんですか?」
カラカラに渇いた喉から絞り出した声は笑えるくらい震えていて、情けなかった。
なにが なんて聞かなくても解ってるのに
「やっぱり こんな事はいけないよ
わたしは 傷付けることしか出来ない
どんなに益田君といても、わたしは」「最初に それでも良いって、僕は言いましたよ」
「僕を 僕と一緒に居てくれるなら」
「貴女の眼が、あのひとしか映して無くたって 」
良いんです。僕の側で笑顔を見せてくれるなら、やわらかい声で僕の名前を呼んでくれるなら、苦しみや弱音を吐き出してくれるなら、その肌に触れさせてくれるなら、僕は心まで全部貰えなくたって
「愛して るんです」
おわらないエンドロール
ごめんなさいの言葉を飲み込むように そのくちびるにキスをした
(塩辛いキスで 僕は自分が泣いていることに初めて気付いた)
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