短編

□仕返し
3ページ/4ページ

ほんの一時期やったけど、かつて世界一の大国やったオレを、最悪な形でその座から引きずり下ろした男。


そいつが今、ろくに抵抗出来ない状態でオレの目の前に居る。


オレにとって、これほど面白い状況はない。





「…なあ、ちょっとくらい抵抗したら?こうもあっさりしとるとつまらん。」

「は、誰がてめーを楽しませるかよ。早くどけ、このトマト野郎」

「…お前、今の状況分かっとる?」

「うるせ……っ!?っ痛」





オレは、イギリスの首筋に思いっきり吸い付いて、赤い跡を残した。





「…!!てめ、何して」

「なあ、これフランスに見せたらどうなるんやろ?」

「……っ、はあ?」

「服着たら隠れるけど、ここセックスんとき丸見えやからなあ」

「………何が言いたいんだよ」

「お前、浮気してるって捨てられるかもしれんなあ」

「なっ…!!!!!?てめっ…!」





イギリスが殴りかかってきた。

だけど、フラフラの体では大した対抗出来るはずもなく、あっさり拳が受け止められる





「うっ……」

「あー、ほらいきなり動くからあ」





アホやなあこいつ。

キスマークなんかで、あいつがイギリスの事捨てるはずないやろ。

むしろ、あいつはイギリスを庇ってオレを殴りかかるはずや。



だけど、熱のある頭ではそんな簡単な事も考えらないのだろうか。

ついに、イギリスは泣き出してしまった。





「……っ、う」

「いきなり泣かんといてよ。オレ、泣き声ってウザいから嫌いやねん」

「………っは、なせ…」

「…あ?何その口の聞き方」

「……っ!」





こいつ、この期に及んでどんだけ態度デカイねん。


そんな事を考えとったら、一つの考えが頭を過った。





「………まあ、離したってもええけど」

「……っ!ほん、と、…か?」

「ああ。フランスと別れるんならな」

「……っはあ!!!!!!?」





あー、今の顔むっちゃおもろい。





「オレな、お前の事むっちゃ嫌いやねん」

「……。オレだって、嫌いだよ……ばかあ…」

「そやからお前が幸せそう顔しとんの、めっちゃむかつく」

「………だから、別れろって?」

「うん」





昔から大嫌いやったこの男。

こいつの嫌がる顔を思い浮かべるだけで、自然と笑みが溢れる。






「出来るよなあ?」

「っ、ざけんな!!!!!そんなの出来る訳…!!」

「キスマーク」

「……っ!」

「別れんのやったらそれでもええよ。オレとお前が付き合っとるって言えば、お前の方が勝手に捨てられるやろうから」

「…っ…、フランスは、信じねえ…っ!」

「何言うてんの?キスマーク付けて」






(その時のあいつの絶望で歪んだ顔、めっちゃおもろくてな!)


END.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ