部長!
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『よーっす!弦一郎!朝練?』
「うむ、夕貴か。おはよう。…あぁ、朝練だ。お前もだろう?」
テニス部の鬼副部長と名高い真田弦一郎、そしてハンドボール部の鬼部長、瀬川夕貴は幼なじみであった。二人は家が近い上に親同士の仲がすこぶる良く、同じような環境で育った。だからか知らないがこの二人はよく言われる。
真田と瀬川って性格は正反対だけど、性質はそっくりだよな!
『そうそうー。』
そう言って夕貴は自転車を漕ぐスピードを緩めて、歩く弦一郎の横に並んだ。
「…む。夕貴、スカートが短いぞ!」
『普通だよ、普通!親父か!
…はっ!なんだ、パンツが見たいなら言ってくれればいいのに…』
「やめんか!」
にやりと笑ってスカートの裾を持ち上げれば、赤い顔をした弦一郎に慌てて手を抑えられた。中3の時の彼ならば近所迷惑を考えずに、たたたたたるんどる!と叫んでいただろうに。
『勿体無い!今日は黒レースだよ?
ごめんごめん、冗談だってば!じゃね!』
「〜っ!夕貴!」
弦一郎を置いて自転車で走り去った。弦一郎は後ろでまだ赤い顔してるんだろう。うーん。ちょっとやりすぎかな。
弦一郎が成長したのには訳がある。といってもあまりの初さに、ちょっとこれから高校生になる男児がこんなんでいいものかと悩んだ夕貴が様々な方法で免疫をつけさせただけなのだが。いい感じに初々しくて、ウザったくないように免疫がついてくれた。自分ナイス!心の中でぐっと親指を上に向けてカメラ目線でウインク。どこにカメラがあるのかは知らないが。
ただ面白いからと言って、当時から同じクラスだった柳生にも免疫をつけさせようとしたのはまずかった。大変な事になったよ。…うん。柳生ファンの皆さんごめんなさい。でも、本性出す相手を限ってる分まだいいか。
「夕貴先輩!おはようございます!」
「よーっす!早いな」
学校について体育館に行くとすでに後輩たちが準備して待っていた。うちの部活は人数が他の部活に比べて少ない。だから中高合同で活動していて中1から高2までほぼ同一のメニューをしている。中1なんて、大分年が離れてるからたまに世代を感じたりするが…。
さらに立海は文武両道なだけあって、部活動が盛ん。バレー部やバスケ部など、沢山体育館を使う部活があるから、体育館はやけに沢山ある。設備もいい。ここはハンドボール専用体育館で、朝練と言えども最適の環境で活動できるのが魅力の一つだ。…とまぁ部活について語ってみたりして。
『よーし…集合!』
「はいっ!」
『…立海!ファイ!』
「オウ!」
こんな日常
…おや、真田君どうしました?顔が赤いですよ?
…たるんどる!
(また夕貴さんですね…)
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