ついんず
□06
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4月10日日曜日午前6時半in神崎家前。おはようございます、いい笑顔で隣の家にジョギングを終えて帰ってくる獲物を待っているのはお馴染みのお二人晶ちゃんと仁君の似非双子。そこへ帰って来た獲物こと幼なじみ、宍戸亮。
『確保ーー!』
「…何してんの?」
『おおー。雅人か、おはよう』
朝8時前晶の弟、雅人が起きて自分の姉の部屋に行くとそこには可哀想な光景が広がっていた。
「亮兄ちゃんも中3だよ?流石に可哀想…」
『でも似合うだろ?』
「…かわいいけどさ」
雅人の言う可哀想な光景、それは
『うん、今日のはいつにも増して自信作』
宍戸亮の女装だった。
ユニオンジャックがプリントされた白いTシャツに黒のテーラードジャケット、そして黒いミニスカートにニーハイ。きっとパンプスも履かされるのだろう。
それから薄めだけどしっかりとした化粧。元々の亮の整った顔立ちも相成ってもの凄い美人へと変化している。それからプラスしてレンズが大きめな黒縁メガネ(伊達)。
髪型は真上でお団子になっていて、さらにお団子にしている髪の先を上から眉毛あたりまで垂らして前髪にしている。…相当な技術だ。
ちなみに、服と化粧は晶作、髪型は仁作である。
「……(うきうき)」
亮の髪型が上手く行ったのか、心なしか仁が嬉しそうだ。
「…はぁ。雅人、この馬鹿どもにもっと言ってやれ」
『せっかくかわいいんだから喋んな』
「声が低い、もっと高くだせ。それと言葉使い」
「…ごめん亮兄ちゃん、俺には兄貴と仁兄を止めるのは無理」
『…今うちの事兄貴っつったろ。姉貴、姉ちゃんもしくはお姉様と呼べ』
「無理」
『よーし、そこになおれ。ぶっ潰す』
「……はぁ。」
「声、言葉使い」
「………わかったよ」(亮、精一杯の女声)
やっぱり可哀想。姉からのマジ蹴りを交わしながら雅人はそう思った。
…でもやっぱりかわいい。
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