ついんず

□04
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がちゃり。ドアの開く音がした。


「…晶、なんでてめぇが居やがる」


『あー、仁お帰り!優紀ちゃんに頼まれちゃってさー、御飯つくってって』


「飯くらい自分で出来る…」


『どーせカップ麺で過ごす気だろ?』


「……」


『ハイ図星!それに喜べ。今日はワンタンだぞ』


「!なんで俺が食いてぇもんわかって…………………って、そうだよな…」


『おう、うちが食べたいもん作っただけー』





晶と仁はお互いの考えていることがわかる。というより、思考回路がほとんど同じなのだ。喧嘩やスポーツの時の判断からどちらのモノの方が好きか、その日食べたいと思うもの、みたいと思うテレビ、などなど。もちろん多少の違いはあるが。双子のようにシンクロもする。私、双子産んだ気がするわ。優紀ちゃんにも、晶の母にも言われた。


『風呂入って来いよ。今日部活だったんだろ?』

「…あぁ」



仁が風呂に入って行くのを見てから、ワンタンの具をどんどん皮につつんでスープに入れていく。仁は風呂が早いから、きっとこのワンタンが食べ頃の時には風呂から出てくるだろう。軽く4〜5人前はあるワンタンをどんどんスープに落としていった。







仁が風呂から出てくるとちょうどワンタンが茹で上がった。



『仁ちゃんナイスタイミング!』


「ちゃん付けすんじゃねぇ!」



仁は怒りながらキッチンに入って来ると、乱暴にスプーンと箸を二人分とって机に運んだ。



『…お前アレだなー。結構モテ男子要素あるよな』


「は?」


『問題はその目つきだよな。怖ぇもん』


「てめぇも似たようなもんだろうが」


『まぁね』



話している間に晶がワンタンをよそり、仁が冷蔵庫に入ったサラダを出したりお茶をいれたりして机に並べていく。ていうか、仁っていいお父さんになりそうだ。子供好きだし。



『いただきまーす』


「…」



仁は無言で手を合わせてから食べ始める。確かに仁がいただきます、なんて言ったら似合わないけれど、ちゃんと感謝は表している。素直じゃないなぁ。



『部活はどうなの?』


「さぁな。…まぁ弱くてつまんねぇし、周り中俺を怖がりやがる」


『確かに仁ってば怖いもんなー






あー、はいはいゴメンって。睨むなっつの』


「微塵も思ってねぇくせに」


『ははは、わかってんなら睨むなよ。そうえば、あの仁の後くっ付いてた一年…太一君だっけ?その子は?』


「…あいつは俺が怖くねぇのかもな」


『へぇー。見る目あるなぁ、太一君。今度会いに行ってみようかな』


「…は?」


『最近清純にもあってないし、仁ちゃんの部活見学もかねて!』


「…いいか晶、ぜってー来るな!いいな!」


『やーん、仁ちゃんのイケずー』


「気持ちが悪い」


『ひでぇ!』


おぇと吐くまねまでしやがった。食事中なんですけど!













「…うまかった」



ぼそりと仁はそう言うと箸を置いて、晶の食べ終わるのを待っている。



『あー…仁のモテ男子ポイント急上昇中…』


「…」


『…変な目で見るな。ブラコンだってのは自覚してんだよ!』



晶は相当なブラコンだ。しかも実の弟ではなく仁に対しての。もちろん、自覚はあるが。実の兄弟でなくてブラコンという言葉はどうかと思うが、それが一番合うのだ。仁も相当なシスコンだが、認めない。お互いに絶対恋愛に発展しない相手なのだ。



『仁だってシスコンのくせにー』


「違ぇ!」


『素直になれってんだよなー





ごめんごめん、睨むなって』


「謝る気ねぇくせに…」


『ははは、ごちそうさまでしたー』



晶がそう言って立つと仁も無言で手を合わせて食器を持って台所へ持って行った。



『…また仁のモテ男子ポイントがあがった






だからゴメンって!』


「…」



(あー仁、今日泊まるから)(あ゛ぁ?)(優紀ちゃんが明日朝起こして学校まで連行してってー)((…あのババァ…!))

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落ちという落ちがなかった…。



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