ついんず

□03
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『おぉ!そろそろ来る頃だと思ってたよ!…予想外に人数が多いけどな』


風紀室の扉を開けると、晶が真っ黒なつなぎ姿で立っていた。奥には、紅茶を入れている日吉とラボでなにやらやっている山田が見える。
余談だが、氷帝は制服の着用は登下校のみの義務なので学校にいる間は基本的に何を着ていてもいいのだ。よって晶は、スカートは嫌い!似合わない自覚はたっぷりある!ということで学校に着いた途端に真っ黒なつなぎ姿になる。おかげで晶のイメージの1つが真っ黒になったが。



「失礼します!」



彩愛から始まり、忍足、芥川、樺地と続く。先ほど彩愛たちは忍足と芥川に会ったらしく一緒に来たらしい。



「神崎くん!久しぶりだC〜!」


『…芥川、神崎さんな』


「神崎くん!」(キラキラした目)





『……』







「………」(輝いた目)






『……』







「………」(希望的な目)









『…好きに呼んでくれ』


晶は若干疲れた顔をして全員にソファーに座るよう、促した。



「本題に入らせて貰うで!…ジロー!えぇ加減神崎から離れてや!話進まんから!」


「え〜!Eじゃん!」


晶は芥川に膝枕させられていたが気にしないのか、無反応だった。羨ましい…。忍足の隣に座っている彩愛から聞こえた気がする。…彩愛ちゃん?なんか怖いんやけど…




「お茶もってきました。」



『ありがとう、日吉』



いいこいいこと晶が笑顔で日吉の頭を撫でると 、日吉は嬉しそうに、恥ずかしそうにはにかんだ。ちょっと待てや!こいつ日吉やんな!誰これ!性格違ない!?
ぎろり、忍足は日吉に睨まれた。あー…すんませんどっからどうみても日吉くんです。ハイ。



「あぁ、それから…」ドゴッ


「〜っ!」


「すみません、手が滑りました。」


日吉は晶に膝枕をして貰っていた芥川の頭をお盆で思いっ切り殴ると、床に落ちてゴロゴロ転がりながら痛がっている芥川をちらりと目にしてからすがすがしい顔で給湯室に去って行った。





『…大丈夫か?日吉の奴容赦ねぇから…』


「い…痛いC…」


「神崎、日吉っていつもあんなかんじなん?」


『?そうだぞ。』


「………」


「…………」


「………」



「…本題に入りましょう!ジロー先輩がダウンしてる間に!」


「…あぁ、せやな」


『そういや、どういうかんじになってんの?』


「高等部のお姉様方から中1のお嬢ちゃんらまで朝から彩愛ちゃんのとこに謝りに来っぱなしや!しかも、とったもんも返してくれとるみたいやし………





ってなんでお前知らんねん!お前がやれってゆーたんやないんか!」


『言ってないよー。そうか、じゃあみんなわかってくれたんだな』


「じゃあどうして…」


『まぁ、説得はしてみたんだけどな』


「…説得って何だC〜」

『…大丈夫か?芥川』





今だに床で日吉な殴られた頭を抑えていた芥川が復活して来たのか、まだ涙声だったが聞いてきた。まだ随分痛そうだな、それ。絶対たんこぶになってるC〜!





晶がやったことは簡単にまとめると次のような事だった。
@山田に彩愛をいじめていた人をピックアップさせる
A直接会って何が気に食わないか、どこが嫌なのか、とにかくずっと吐き出してもらう
B話された事の矛盾を指摘、もう一度彩愛の仕事や日常をみてもらうように言う。もちろんその子たちのフォローも忘れずに。
C彩愛を見て気づいた事を延々と語ってもらう
D自分がしてしまった事に対して反省して後悔し始めた子たちにどうすればいいのかは自分でわかってるはずだ、と諭す。
どうだ、わかりやすいだろう!晶さん、流石です!給湯室から日吉が叫んだ。



『暴力的だった子たちにはちゃんと別に対応したぞ。そろそろ謝りにくる頃だとは思うが。彩愛ちゃん殴った男共は全員私刑にしたから。女の子殴るなんて男として最低だ、最低。それからテニス部のファンクラブの会長さんにもちゃんと話つけといたから、多分もう大丈夫だと思うぞ』




「………」






「………」







「………」






「………」







『ん?どうした?』


「嘘やん!ホンマにこの短い間にそんなやったんか!?」


「まだ今日で3日目ですよ…!!」


「神崎君凄いC〜!!」


「…人数も、相当、多かった…はずです…!」


『うちの部下が優秀なんだよ』


にやりと笑みを浮かべて晶はパソコンやらエアコンやらの配線が部屋からはみ出ているラボを見て、それから花やらひよこやらの幻覚が見えてくるほど幸せそうなオーラが漂う給湯室を見た。自慢の後輩さ!給湯室から漂うひよこが2倍になった。


「晶先輩、本当にありがとうございました!何てお礼をしたらいいか…」


『気にしないで!うちが好きでやった事だしな』


「でも、何かお礼させて下さい!」


『…じゃあ今度缶コーヒーでも買ってくれればそれでいいよ。あ、もちろん砂糖入りな!』


「ありがとうございます!」


『いーえ!また今度何かあったらいつでもおいで』



にこりと笑った晶は今度こそ爽やかだった。なんかまた神崎の株上がってへん?あいつどんだけ男前やねん。俺立つ瀬ないんやけど…。おっしーが神崎君に勝つなんて10万年早いC。………。










(やっぱり、晶さんは凄いな)(俺らは結局情報探して人呼んできただけだしな)(跡部さんみたく権力じゃなくて、面と向かって言葉で説得して考えを変えてる)(…日吉、晶先輩には下剋上って言わないよな)(当たり前だ。俺は晶さんの下で働きたい)(今日は珍しくお前と意見があうな)


*********
3話目終了!


最後のは何が言いたかったかというと、日吉も山田もヒロインちゃん大好きってことです!


これで導入編が終わったから好き勝手できるぞ!


→オマケ
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