ついんず

□08没
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『ただいまー』


「…お邪魔します」


「あ、兄貴お帰りー………って、兄貴が本当に男連れてきた…。





仁兄――――!」


『……雅人、姉貴って呼べっつったろ』


晶が乾を連れて帰ってきた。いつも通り弟の雅人がパタパタと玄関まで来ると、そこには自分の姉と背の高いメガネの男がいた。マジで兄貴男連れ込んだ…!仁が言った事とはいえ、半信半疑だった雅人。ついに兄貴にも春が…!と思えないのは晶の見た目のせいだろうか。


「?あぁ、晶。………やっぱり青学の乾だったか」


雅人に呼ばれ、奥からスウェット姿の仁が出てきた。寛ぐ準備万端だな!きっとこのまま晶の家に泊まって行く気なんだろう。


『あれ?貞治来るってわかってたの?』


「…そんな気がしてただけだ」


ふむ、そういいながら乾がノートを開いて何かを書き出した。似非双子の意思の疎通が興味深かったらしい。一体そのデータを何に使うのだろうか。

『まぁいいか。ごめんね貞治、玄関に立たせっぱなしで…。上がって上がって!雅人と仁は何か食べた?』


「まだに決まっってんだろ。俺と雅人が料理出来るとでも思ってるのかよ」

『あー…ごめん無理だな。貞治、何食べたい?』


「俺、パスタがいい!ミートソースの」


「雅人には聞いてないんだけど…」


「いや、俺もパスタがいいな」


『…優しいな貞治。じゃあそうしよう!』


貞治シャワーでも浴びちゃえばー?そう言いながら晶はパタパタとキッチンに走っていく。


「兄貴のパスタ凄い上手いんですよー!」


にこりと雅人は乾に向かって笑った。姉とは違い弟はにやりとニヒルには笑わないらしい。


「俺も何度か晶に作って貰ったことがある。…というより作り方を教えて貰いながら作って貰ったという方が正しいかな」


へぇ!と返す雅人に対し、ぴくりとその言葉に反応したのは晶の似非双子、仁だ。


「…あ?」


え、なんだそれどういう事?雅人の反応を見るに晶の家には来ていない。勿論自分の家にも来ていない。ということは乾の家に…。ここまでの思考にかかった時間はおよそ0.1秒。まさしくシスコンが発動した。男の家に1人で行くなんて何考えてやがる…!取りあえず機嫌が悪くなった仁。


『…ちょっと晶に用事が出来た』


あたりに不機嫌オーラを撒き散らしながら台所に向かって行った。


「そういえば、俺乾さんどっかで見たことあるんですよね。どこだったっけ…?」


「…?申し訳ないが、俺には覚えがないぞ」


「うーん…。まぁいいや!乾さん、兄貴も言ってたしお風呂入ります?」

「いや、迷惑だろう…」

「いいんですって!あ、着替えは仁兄ので我慢してくださいね!



仁兄ー!ジャージ貸してー!」


「勝手に持ってけ」

仁の声に雅人がはーいと返事をすると、未だ納得していない乾を押して風呂場に押し込んだ。有無を言わせない感じは姉にそっくりである。着替え持って来るんで入っちゃってくださいねー!そう言うと風呂場のドアを閉めて出ていってしまった。ご好意に甘えて入ってしまおう。部活もやって汗でベタベタしていたから実は風呂に入りたかった乾。服を脱ぎだした。




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