Text

□お題モノ
3ページ/4ページ



●吸い込まれる(空気泡)



「今日も一段と張り切ってるね。」
「む…。落ち葉が多くなってきているからな。」
「エアーには大敵だもんね。」
「ああ。」

「……でもさ、こう寒いと焼き芋とかしたくない?」
「…いや…」
「食べたくない?」
「……いや、……あ、食べたい。」
「だよね!ヒートとウッドから貰ってくるよ。」

「……………はァ…。」


……最近、三男の対応に困る。
着かず離れずだった(いやむしろ離れる方が多かった)バブルが、秋口頃から妙に側にいるからだ。

『秋は人肌恋しくなるんじゃろ』
なんて博士は笑っていらっしゃったが……生憎と俺達は機械だ。人肌の体温は持たない。
電子頭脳回路のバグ…これが1番有りそうな要因だな。
芋を持って帰ってきたら……それとなくメンテナンスを勧めるべきだろう。

そう弾いた自分の頭脳に、ほんの少しの違和感を感じて眉間を狭める。


「……何難しい顔して落ち葉飛ばしてるの。」
「?!……お、おかえりバブル、早かったな。」
「なんか丁度焼けたタイミングだったみたい。はい、半分。」
「む……す、すまない。」
「あふっ……んー、甘い。」

「バブル、話が……」
「メンテナンスには行かないよ。バグも故障も不備も無し。」
「な、何故それを…?!」

「……だってさ、エアーが悪いんだ。吹き飛ばすだけかと思うと、思いっ切り吸い込まれる。」
「……??」
「吸い込まれたら離れられないんだもん。困っちゃうのは僕の方だよまったく。」
「バブル、言っている意味がよく…」

「…ま、それでこそエアーだから良いんだケド。おいも、冷めちゃうよ?」
「……あ、ああ…?」


言葉を反芻しながら、口内の芋を咀嚼する。
それはバブルが帰ってくる直前に感じていた違和感と飽和して、甘さを持った情報として電子頭脳を駆け巡った。

『自惚れに過ぎん……。彼奴も俺も。』

ごくり。
芋と一緒に悪態も飲み込んでしまえ。


『スクリューの様に俺を吸い込んだのは、お前の方じゃないか!』





_
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ