ぷよぷよ小説
□消えて欲しくないもの
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それは、とある日の出来事。
ガラガラガラ、と先生はいつものように教室に入ってきた。
ただいつもと違うのはその手に抱えてる大量の白い紙。
なんだろう、とザワザワする一同には目もくれず、それをドンと教卓の上に置いた。
「先生はみんなにどのくらい勉強が行き届いてるのか確認したいので、今日は抜き打ちテストです」
「え〜」
教室内はブーイングの嵐。その中で最もブーイングしているのは大きな赤ぷよ帽を被った女の子である。
「あら、アミティさん。そんなに心配しなくてもテストはいつもより簡単だから安心していいわよ」
「絶対嘘だ」
落胆するアミティ。それを余所にいがみあってる影が二つ。
「残念だね、ラフィーナ。ペーパーテストなら負ける気がしないよ」
「ほざきやがれ、ですわ。後で後悔することになりますわよ、クルーク」
「はっ負けた後にどうせ暴力でも振るうんだろ?このゴリラ女!!」
「なーにをおっしゃいますの。頭しか取り柄のないメガネ猿のおこちゃまが!!」
「何を〜」
「そっちこそ〜」
「喧嘩は授業妨害よ、クルーク君、ラフィーナさん」
先生がニコッと微笑むが、その後ろにははどす黒いオーラが見える。それに気づいたクルークとラフィーナはすぐに喧嘩を止める。
「「すみません」」「でした」「ですわ」
「ふふ、よろしい。それではテストを始めようかしら」
「あっあのアコール先生・・・」
おどおどしながら手を挙げるのは頭に鬼のつののようなものがある女の子。
「どうしましたか?リデルさん」
リデルはまだおどおどしているが、やがてゆっくりと口を開いた。
「シグ君がまだ来ていません」
しーん、と静まりかえる教室。
その静寂を切り裂いたのはドアの開閉の音だった。
「せんせーい、遅れ」
ズコーン。
言い終わる前にアコール先生は物凄い速さのチョークを投げた。
それが見事シグのおでこにクリティカルヒットした。
「遅刻は駄目よ、遅刻は」
ニコッとしているがこちらも後ろにあのオーラが見える。
「うへー痛い」
でこをさすりながら自分の席に座る。
すると隣の席のアミティがコソコソとシグの耳元で囁く。
「今日抜き打ちテストだって」
「へ?それ本当」
「うん」
「それでシグにお願いがあるんだけど・・・」
「ん?」
「隣のクルークの解答をこっそり見て教えてくれない?」
「へ?それって・・・カンニングじゃ・・・・・・」
ズガコーン。
ふいに二人のでこにチョークが。またしてもクリティカルヒット。
「カンニングは駄目よ。シグ君、アミティさん」
「「・・・は〜い」」
アコール先生はふぅ〜っと息をついて白い紙をトントンと整える。
「それじゃあ、テストを始めようかしら」
そう言うとチョークを持って何か書き始める。どうやら簡単な注意事項と午後の部の説明。
「午後からもあるんですか?」
クルークの質問にアコール先生はニコッと微笑む。
「ペーパーだけじゃ分からないこともあるから実技試験もするのよ」
「なっ!!」
驚愕の表情を浮かべるクルークを横目に喜んでいるのはラフィーナ。
「ふふ、これでクルークをボコれますわ」
「何を言ってるんだい?勝つのは僕さ」
「その減らず口がいつまでもつかしら?」
ズガコーン。
もう定番となったチョークが二人のでこに。やっぱりクリティカルヒット。
「学習しない子は嫌いよ、ふふ」
一気に静まりかえるのをいいことにもくもくと黒板に字を書いていき、それがちょうど書き終わった頃、アコール先生が一同の方へ向き直った。
「じゃあ前の人にプリントをわたすから後ろへ回してくださいね。みんなに行き届いた頃に始めてください」
こうしてテストは始まった。
しかし、それが悪夢の始まりであるなど、誰が想像できただろうか・・・・・・