暖かな気温


□自己紹介>空腹?
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あれから一週間。賊の大将に付けられた剣の傷が見事に塞がりました!いやぁ、安静にしてろって彼…ジャーファル?さんに言われて部屋に閉じ込められて、することなく暇で退屈な一週間でした。することなんて寝ること位しかなかった。…怪我に障るかもって飯沢山食べさせてくんなかったし。

「八人将を紹介しよう!」

『ふぁい?』

がつがつと空腹を満たすために此でもかと食料を口に突っ込む。今なら生肉でも食える気がする。おいこら其処、品がないとか言うなー。出された飯を全て平らげ、おかわりを頼もうとした。そんな時に見計らったかのように現れ、私の前に積み重なるお皿に唖然とし、苦笑を漏らしたシンドバッドの其の言葉から始まった顔合わせ。
シンドバッドと王直属の従者、シンドリアの守護神八人将。8人の内の殆どを前に見たな。私を含めた10人が、狭いと言うには広い部屋にいる。なんか色んな意味で居た堪れないなんとも重い空気。

「改めて、シンドリア王国国王、シンドバッドだ!宜しくな夜尋」

『あぁ、宜しく』

沈黙の走る部屋で先に口を開いたのは、机に両肘をつけ手を組み、顎を乗せ笑顔で言うシンドバッド。てか痛い視線が。好奇心と猜疑心が全て私に向けられる。心地いいものじゃない。寧ろはっきり言って超うざい。私は苛々しつつも視線を全部無視して、視界に入れないのは無理だから意識しないようにシンドバッドだけを見た。其のシンドバッドはジャーファルの方に目を向けた。

「二度目になるがジャーファルだ。普段は政務官として働いてるが、元暗殺者で戦力面でも頼りになる。何かあればジャーファルに聞けばいい」

シンドバッドの説明に納得する。だから気配を消すのが得意で、血の臭いがするんだな。ジャーファルの方にちらりと視線を向けると少し陰った表情をした申し訳無さげな目が合う。

「…ジャーファルです。疑っていたとはいえ、小さい貴女にあの様な事をしてしまい申し訳ありません」

『あ、いや、其の…別に。ジャーファル…さんは、正しいから』

其処まで頭下げられると逆にビビるんですけど。其にアンタは間違ってないし。国が危険に侵されるかもしれないって可能性は捨てるべきじゃない。特に、国の天辺である王がこんなちゃらんぽらんだと尚更。驚いた目をしたジャーファルに笑い掛ければ更に顔を驚きに染めた。

「ジャーファルでいいですよ」

『・・・・・はい?』

疑うようにジャーファルの顔を見れば微笑を浮かべている。はは。綺麗な笑顔を浮かべて、今何と仰いましたか?いや待て答えを求めてる訳じゃないんだ。必要としてない。シンドバッドといいアンタといい何故呼び捨てを強要する?可笑しいだろう。

「ジャーファルって呼んでください、夜尋」

『いや、でも、ほら…ねぇ?』

「シンは呼べて私は呼べないんですか?」

『呼ばせて頂きます!』

え、黒!?え、くっろ!?背後めっちゃ黒いんだけど此奴。笑ってるよな?え、此笑ってるんだよな?うん、そーゆうことにしよう。ジャーファルから目を反らし、シンドバッドを見る。おい、青褪めてんじゃねーよ馬鹿王。

「え、っと…マスルール。知っての通りあの少数戦闘民族ファナリスだ。腰の剣は飾りで、体術の方に優れている」

「………っス」

『あー…、あの時は眠らせてごめん』

こくりと一度頷いた。其の後は只此方をじぃっと見てるだけ。にらめっこなら負ける気はしないけど、穴開くよ此。負けじと睨むも無反応。ふ、不戦勝か。視線をシンに戻せば苦笑いで見られる。

「…エリオハプト出身のシャルルカン。見た目はチャラいが剣術は俺よりも上だから修行をつけてもらうなら彼がいい」

「チャラいってヒデーよ王サマ!俺はシャルルカン!お前ちっせーのに強ぇな!」

肩をべしべしと叩いてくるシャルルカンにイラっとして手を払う。シンドバッドの言い分は正しいよお前はチャラい。シンドバッドもだけどな。後私剣に興味ないよ。いや、誤伝だな。興味がないんじゃなく、武器なら使えさえすれば何でもいいんだ。愛用してるのはあるけど。

『シャルルカン、さん?宜しく』

「なんだよ水臭ぇな!シャルルカンでいいって」

「そうよ。そんな奴呼び捨てでいいわよ」

「んだと!?」

「何よ!?」

出てきたのは、薬や魔法で氷を出してくれたお姉さん。おいおい。何でもいいけど私を挟んで喧嘩すんの止めてくんない?つか水臭いって仲じゃないじゃん。まぁ、めんどいし突っ込まないけど。つか此奴泣いたこと触れないでくれてんのな。やっぱ案外いい奴。

「シャルルカン、ヤムライハ其処までにしろ。彼女はヤムライハ。マグノシュタット出身で其の格好の通り、家の優秀な魔導士だ」

「ねぇねぇ貴女!あの壁の魔法どうやってたの!?魔力量凄いわね!他にどんな魔法が使える?」

『あ、え…』

ちょ、胸でか揺れてるつか近い!両肩を捕まれ目を爛々と輝いた顔が近付く。そんな詰め寄りながら矢継ぎ早に問われて答えられるかよ落ち着いてくれよし私も落ち着こう。

『ヤムライハさん、また後でってことでいいかな』

「えぇ!わかったわ!」

「止めとけ止めとけ。魔法バカが移るぞ」

「何ですって!?アンタだって剣術バカじゃない!」

また始めやがったよ。え、何?此恒例なの?通常?まっじかー。呆れて目の端で罵り合う二人を見る。

「もーぅ。二人とも止めなよー」

私と同い年位の金髪の女の子が二人を止める。包帯巻いてくれた鳥の子だ。其の子は私の視線に気付いて振り向きニコニコと笑う。

「彼女はアルテミュラ出身のピスティ。其の笛や歌を歌って動物と波長を合わせることが出来る」

「やっほーピスティちゃんだよ!ピスティって呼んで!」

『あ、うん』

「ねぇ君何歳?」

『え…、12、かな?』

「へへー私の方が年上!」

・・・・へ、へーぇ?
だからどうしたってのは言っちゃいけないんだよな。言っとくけど、年齢と成長は伴わないんだからな。てか此処の女性はテンション高いですねついてくの大変です私も女ですけど。気にしなーい。気にしちゃいけなーい。

「彼は、スパルトス。ササン出身で槍術を得意としている。文化の関係で女性が少し苦手なんだ。…確か夜尋とは船で一緒になったんだよな?」

「はい。小さい身体にも関わらず身の丈程もある荷物を抱え走り回っていました」

『おう。忘れてくれ』

「ゲームと名乗り敵船に乗った時は驚いた」

『…すまない』

いや、もうほんと忘れてください。私の全財産あげるから。…嘘ごめん私今無一物、無一文なんだ。どうしたもんだか、困ったことにやれるもんなんか何もない。







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