敵の敵は味方

□標的6
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「はぁ!?今日かよ!?急すぎるじゃんか」

『ごめん。昨日言われたんだ…』


昨日電話があったことと、帰るってことを伝えてみる。
当たり前のように怒鳴られる。
何故だ?


「せめて明日とか…荷物の整理だってあるじゃない」

『準備はしてあるよ。荷物…ちょっとしかなかったし』


朝起きてすぐにやったんだよ。
いつもは夜でも帰って来いって言うし、まだ優しい方なんだ。
お別れする時間をくれたんだし。


「はぁ…。何を言っても帰るんだろ。
・・・・・・また遊びに来いよ」

「待ってるからな」

『ちょ、待っ、僕のこと泣かして楽しい?』

「ええ。すっごく」

「捺璃も別れを惜しんでくれてんだってわかんじゃん」

『こんな僕だけど、理解して、仲良くしてくれてありがとう』


そういった後、アリアを呼ぶ。


『ユニのことは任されたよ。僕に任せて。助ける事は立場上無理かもしんないけど、支えにはなれるようにする』

「それで十分よ。ありがとう」

『こちらこそ。


・・・・・・・・じゃあ、そろそろ行くよ』

「「「「ああ/ええ/おう

行ってらっしゃい」」」」


『!!!!!!
・・・行ってきます!!!』








ジッリョネロの皆と別れた後、何度か通った山道の木の上を走る。
アリアは馬や、案内を付けるって言ってくれたが、断った。
道は数回通ったから覚えた。
馬は疲れるし、それに証拠が残る。


『(さっきから誰か追いかけて来てる)』


                ・・・・
正確には、さっきからじゃなくて、最初から。
つまり、ジッリョネロの基地を出たときからということ。
気づかれないよう一定の距離を保って、行動しているが、捺璃には無意味だ。


『(この気配知ってる・・・)』


木の上に着地し、自分の気配を一瞬で消す。
すると、焦ったように気配を震わせスピードが上がる。
音にしては静かすぎる音が近づいてくるのを待つ。


『(来た)』


足音が目の前に来た時に、姿を出す。


『あれ?こけしじゃん』


ずっと追いかけていたのは、こけし…幻騎士だった。


「・・・・・・・・・・・幻騎士だと言ったはずだが」

『うん、そーだね。



それよりさぁ・・・・・なんでずっと追いかけてきたわけ?』

「!?」


いやらしい笑みを浮かべ、あまり強くない殺気を向けて問うと、自分の剣の間合いの外まで飛んで、いつでも剣を抜ける体勢にする。


『やだなぁ。なんで逃げんの?質問しただけじゃん』


傷つくなぁ。なんて言いながらも、笑顔も、殺気も消えていない。
寧ろ殺気に至っては、少し強くなっている。


「・・・・・・貴様、本当に何者だ」

『あはは・・・しつこいなぁ…。しつこい奴は女の子に嫌われるよ』

「・・・・・答えになっていない」

『君に教えてどうなんのさ。僕にメリットなんかない』

「もしあの人の邪魔をするようなら、排除せねばならん」

『あの人が誰かは分かんないけど、殺されるつもりなんかない』


二人の話が噛み合ってない中、お互いいつでも攻撃が出来るように間合いを詰める。


「悪いが死んでもらおう」

『ハッ、やだね』


幻騎士が捺璃に跳びかかろうとした瞬間、ジェッソの人間と思われる奴らが草むらから出てくる。


「ジッリョネロの人間と見た。覚悟!!」

『うわ、めんど。これ全部幻ちゃんのせいだから』

「違う!!幻ちゃんではない」

『そんなんどうでもいいからさっさと殺りなよ』

「貴様もやらんか」

『やだよ。なんで僕がしなくちゃなんないのさ。関係ないじゃん』


手をひらひらと振り遠ざかっていく捺璃の背中に罵声を浴びせる幻騎士。




幻騎士side


数分後…。
大事なあの人の兵を殺さぬよう全員気絶させた。


「捺璃…。一体何者なのだろうか」


白蘭様に報告を、と次の瞬間には移動を始める。


「(次会うときは必ず…)」



幻騎士side終了





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