main -狗-
□blunder
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仕事に戻る前に、総帥の元へこれを届けなければな…
そう思い、ズッシリと積まれた資料を持ち上げた時、目の前の世界が回った。
バサバサ―…
『…っ』
一瞬、自分の前で何が起こっているのかが理解出来なかった。
しかし直ぐに我に返り状況を理解した。
どうやら、立ち眩みがしたはずみに持ち上げていた資料を鏡のように磨かれた大理石の床に派手に散らしてしまったらしい。
…何故だ?
何時もはこれと比べ物にならないくらいの資料を片手で持つと言うのに…。
「アキラ上級大将!!どうされましたか!?」
すかさず部下が床に散らばった資料をまとめ、アキラの様子を伺った。
「ここ最近仕事が忙しかった為、お疲れになられているのでしょう。こちらは私が総帥様の所までお持ちしますので、アキラ上級大将は御休みください。」
確かに、ここ何日間か業務終了時間が過ぎても、一人事務室に残って業務を片付けていた。
そのお陰で睡眠どころか食事もろくに摂っていない…。
『いや、大丈夫だ。少し手が滑っただけだ。』
「ですが…っ、」
いくら疲れていると言っても、こんな忙しい時期に休もうなど言語道断だ。
『今は休んでいる場合ではないだろう。あと2時間もすれば作業時間は終わる。それまで我慢するだけの話だ。』
「…アキラ上級大将がそこまでおっしゃるのでしたら仕方ありません。ですが、無理をなさらないよう、気を付けて下さい。では、この資料をお渡ししてからそちらに戻ります。」
『すまない。宜しく頼む。』