main -狗-
□blunder
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いつもと変わらぬ業務に打ち込み、窓の外がオレンジ色に染まり出した時、一人の男に声をかけられた。
「アキラ上級大将、中東の者から資料が届いております。」
中東からの資料―…
『…誰宛だ。』
「総帥様宛だと。」
総帥宛…。
ラインについてか…。
あのお方は以前、ラインを中東に拡げるとおっしゃっていたな。
冗談だと思っていたが、まさか本当に話を進めるとは。
『そうか、では、預かっておこう。』
相手の前に手を差しのべたが、向こうは荷物を渡そうとしない。
「…あのっ、よろしければ総帥様の執務室までお持ちしますが…」
『いや、いい。これくらい自分で運べる。先に事務室に戻って、作業を進めておいてくれ。』
「はいっ…。」