main -狗-
□ただシキが好きなだけ
1ページ/2ページ
“どうしてだろう…ー”
薄暗い部屋の天井を見上げながら呟いた。
******
あの男の事を考えると、何の意味もなく心が苦しくなる。
この狭い空間にいる時間が重なれば重なる程苦しくなって…。
でも、体を重ねてしまえば、その苦しみは熱となって消えて行く。
だが、その男が部屋を出てしまえば、再び苦しくなる。
それは言葉で表せるようなものではない。
とにかく、苦しくて…、
苦しくて………ー。
はっきりと言うと、自分でもこれが何なのかは分からない。
でも、何となく分かる気がする。
たぶん、この苦しさは、体がおかしいわけではないのだと思う。
自分の中にある感情の一部が働いているのだと……。
窓を見ればいつも雨。
濁った雲や空気が、この苦しさをより一層悪化させている。
早くこの苦しさから解放されたい。
あの男が来れば、終わる事だ。
早く…。
早く……ー。
END