静岡物語

□お笑い劇場
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【静岡プロローグ】

ある日、ハリーは奥さんを誘い旅行に行きました。

これは、その旅行の帰りの出来事。



ふっと目に飛び込んできたモノを指差しながら、ハリーの奥さんが言った


「ねぇハリー、あれ赤ちゃんじゃないかしら」


「え、どこだい?」


「ほら、あのお墓の前」


「ほ、本当だ…赤ちゃんだ」


そう言うとハリー達は赤ちゃんの側へ行き、その赤ちゃんを優しく抱き上げた。


だが、赤ちゃんを見たハリーの奥さんは、少し複雑な表情をうかべている。


「ねぇハリー、この赤ちゃん少し変だわ…」


「ん?どこがだい、可愛い子じゃないか」


「え、ええでも、顔がその、なんていうのかしら…オッサ」


「ジェイムス…」


「え」


「この子をジェイムスと名付けよう」


「ジェ…な、ジェイムスって……この子、女の子よ」


「だってほら、ジェイムスって顔してるじゃないか」


「…ハ、ハリーごめんなさい、よく分からないわ」


「そうじゃなくて、よーく耳をすましてみろ」


言われるままに耳をすますと、赤ちゃんが口を開いてこう言った


「私の名前はジェイムスです」


「バカな」


ハリーの奥さんが本気の否定を込めて唸る


「メアリーを知らないか」


続けざまにジェイムスがしゃべる


「…ガムテープ、ガムテープが必要だわ」


「ん?ガムテープなんて何に使うんだい」


「何ってジェイムスの口に貼るのよ」


ご乱心


「な、なんてこと言うんだい君は」


「死んだ妻から手紙を貰ったんだ」


再びジェイムスが言う


「ほらガムテープよガムテープだわっ」


「ガムテープはいいから、少し落ち着きなさい」


「…そ、そうねジェイムス、あ間違えた、ハリー」


「…君…夫の名前と彼の名前を間違うとは何事だね」


「ごめんなさい、あまりに自然に出ちゃったの…わざとじゃないわ。あと彼じゃなくて彼女よ…多分」


「あの、私のことで揉めないでくれないか…ふぇ」


と半泣きになるジェイムスを見て慌てる2人


「ま、まてジェイムス、違うんだ君のせいじゃない」


「そうよ、顔と体の対比も相まって強烈だわっ…泣かないで」


「…ん?どういうことだい」





「ねぇハリー…私たちには子供がいないわ」


「ああ…そうだね」


「だからこの子はきっと、神様から私たちへの贈り物なのよ」


「君もか、僕もそう思っていたよ」


「そう、そうなの。でもね…私ジェイムスって名前はどうかと思うの」


「…そうだね、ジェイムスだとあまりにもハマり過ぎてしまうしね…」


「えぇ」




「そうだなぁ…じゃあ







シェリル


なんてどうだい」










こうして無事にシェリルと名付けられた女の子は、その7年後、父ハリーとサイレントヒルの町へと向かうのでした。




ちゃんちゃん♪♪
 
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