切原赤也

□ホールケーキ
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 ールケーキ



今、俺達は大きなホールケーキの乗ったテーブルを、2人で囲んでいる。
『やっぱクリスマスにはホールケーキでしょ』と赤也が言うので、甘い物が得意で無い俺は1番小さいサイズを頼むことで、それを了承した。
しかし、実際手元にあるのは……1番大きなサイズのホールケーキ。

「………赤也、俺は今…申し訳無いが吐き気がする」

どうやら、予約した店側が注文を違えたようで……料金はそのままで、このケーキを購入出来た。
何か他のものであれば、得をした気分になれるかもしれないが。
少なくとも俺には、損得で言うならこれは損だ。

「俺も正直………食べる気無くしました」

恋人同士の関係になって、初めてのイベント事。
出来れば2人で過ごしたいと望んだ赤也の要望通り、例年ならば精市や弦一郎達を加えた面子で行うクリスマスパーティーを、2人きりで行うことにした。
そうは言ってもここは俺の自室であり、下に行けば俺の家族が居る。完全な2人きりでは無い。
しかし、赤也は嬉しそうに、笑ってくれた。

「…………丸井を呼ぶか」



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