切原赤也

□理想と現実は寸分の狂いがある
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 理想と現実は
   寸分の狂いがある 




「蓮。貴女、良い人居ないの?」

久々に実家に帰って、母に言われた一言。
まぁ、これは覚悟していたが。

「今は仕事に生き甲斐を感じているので…」
「そうは言っても、貴女ももう25歳よ?結婚を視野に入れなくとも、せめてお付き合いくらいは…」

母には申し訳ないが、話は適当に聞き流した。
恋人は居る。しかし、両親に紹介するには……躊躇する。



‐‐――

「でぇー……開発部の奴超しつこくて、あたしには付き合ってる人が居るっつってんのにさ!!」

赤音が、テーブルに向かって乱暴に缶ビールを叩き付ける。
酒の勢いも手伝ってか、彼女はいつも以上に荒れていた。

「蓮さんは大丈夫スか?変な男に言い寄られたり……」
「今のところは無い」
「良かったぁー………あたしの蓮さんに、無闇に触られたくないし…」

そう言って、赤音は後ろから私を抱きしめる。
腹の辺りを撫でる赤音の手が段々と上に行き、膨らみのある部分に触れた瞬間、それを両手でガシッと掴んだ。



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