=兎の夢(戦国BASARA)=
□空と雲の境目 4
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「ふむ…。別世界、それも未来からとはのぅ…」
目の前で、赤いモサモサ(角付き)をかぶったダンディーな叔父様がそう唸る。
幸村が走り去った後、私は佐助にココに連れてこられた。
理由はもちろん、私の処遇を決めるため。
別に隠す必要も無いと思ったし、私は自分がどういう経緯でココにきたかを話した。
彼を見つめ、本物の信玄様だ…!と私は心の中で感動した。
まぁゲームをしたときの第一印象は、『ムサイ』だったんだけどw
「して、おぬしは行くところはあるのか?」
「あ、いえ…。
何分いきなりこちらに飛ばされたものでして。
恥ずかしながら、行く所はおろか、一銭の銭も持ってはおりませぬ…」
ていねいな口調。
それと、時代劇で見たような言葉使いで答える。
後ろで佐助が“俺様と態度違う…”とぼやいていたが、無視。
あたりまえじゃん!!
あのお館様に佐助相手みたいな口調をしろっての!?
絶対無理^q^
一応の礼儀はわきまえてますよーだ!
「ならば千穂よ。
今日からここに住むとよい」
「……は…?」
え?いきなり?
もっとこう…深く聞いてくるんじゃないの?
キョトンと間の抜けた声を漏らすと、信玄様はフッと笑った。
「聞いた話では、そなた民を救ってくれたそうじゃな」
「民…?
…あ。森で助けた女の子のことにございますか?」
「そうじゃ。その者は申しておったぞ」
“素性の分からぬ御方だった故、どこに礼を申しに行けはよいか分からなかったのですが、
あれだけお強い御方ですので城の者だと思うたのです。
あの方がもしこちらにいらしたら、本当にありがとうございましたと伝えておいて欲しいのでございます”
「…あの子が…」
「わしからも礼を言うぞ。民を救ってくれて、感謝する」
…あ、やべ。
人助けはけっこうした事あるけど、こんな風にていねいに感謝されるのって始めてで…。
すごく、嬉しい。
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