短編集

□kiss,kiss
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ガタン、ガタン。

長い長い車両の最後尾。

広い車内の座席には二人の姿が並んでいる。

片方の影がうーん、と足を伸ばした。


「はぁー…相変わらず強いですよねぇ、ノボリさん。またこんな早くに負けちゃった」

「お褒めに預り光栄でございます、アカリ様」


唇を尖らせて言う彼女に、サブウェイマスターのノボリは困ったような笑みを見せた。

スーパーシングルトレインの49両目。

何度も何度も挑戦して漸くそこに辿り着くことが出来たアカリだった。

しかし、ノボリの強さは今までとは比べ物にならない程で。

ボールの中で休んでいる仲間たちを見ながら、アカリはまた小さなため息を吐いた。


「また一からか〜…ここまで来るの結構大変なんですよ」

「それでもここまで来てくださったアカリ様には、私も嬉しく思いますよ」


クスクス笑いながらノボリはアカリの髪を撫でる。

この二人、実は両思い。

毎日シングルトレインに通い続ける彼女にノボリが告白したのは、そう遠くない過去である。


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