短編集
□照れ屋な彼
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「アカリ」
「はいっ!?」
彼女の裏返った声にもポッドは笑わない。
真面目な顔でアカリを見つめる。
「お前さ、皿は割るしオーダー間違えるし盛り付けは下手だしすぐ転けるし…」
「う、うぅ…仰る、通り…です」
ザクザク心に突き刺さるような事実にアカリは胸の中がくしゃくしゃになった感じがした。
ポッドは仕事ではずっと自分についてくれて、何から何まで教わった先輩である。
何もしてあげられない不甲斐無さに、目の奥が熱くなりそうだった。
「…でも、頑張ってるのは、知ってる」
「…え…?」
アカリが顔を上げる。
ポッドは恥ずかしそうに視線を泳がせていた。